
離婚と財産分与:寄与度の理解
夫婦が共に暮らした期間に築いた財産は、民法で共有財産とみなされ、離婚の際には分け合うことになります。この時、財産の分け方を決める重要な要素となるのが「寄与度」です。寄与度とは、文字通り共有財産の形成にどれだけ貢献したかを示す割合のこと。簡単に言うと、財産を築くのにどれだけ貢献したかを表す数値と言えるでしょう。
例えば、夫が会社で働き収入を得て、妻が家庭を守るという従来の役割分担の家庭を考えてみましょう。一見すると、夫が外で稼いだお金で財産が作られたのだから、夫の寄与度が100%、妻は0%のように思えるかもしれません。しかし、妻が家事や子育てを担うことで、夫は安心して仕事に打ち込むことができているはずです。つまり、妻の努力も間接的に財産の形成に貢献していると言えるのです。このように、寄与度は収入を得るといった直接的な金銭の提供だけでなく、家事や子育て、介護といった目に見えにくい貢献も含まれます。
寄与度の割合は、通常は夫婦それぞれ50%ずつとされています。これは、内助の功という言葉もあるように、直接収入を得ていなくても、家庭を守る活動が財産形成に大きく貢献していると考えられているからです。ただし、特別な事情がある場合は、この割合が変わることもあります。例えば、夫婦の一方が浪費やギャンブルなどで財産を著しく減少させた場合や、親から多額の贈与を受けた場合などです。このような場合は、裁判所が個々の事情を考慮して寄与度を判断します。
寄与度は、離婚における財産分与を公平に行う上で非常に重要な概念です。目に見える貢献だけでなく、目に見えない貢献も正当に評価されるべきであり、だからこそ、寄与度の算定は慎重に行われなければなりません。