法律 遺言能力:法的要件と注意点
人が亡くなった後、その方の財産を誰にどう分けるかを記したものが遺言です。この遺言を作成するには、遺言能力が必要です。遺言能力とは、自分がどのような財産を持っているのか、誰に何を相続させたいのかを理解し、その意思に基づいて遺言書を作る能力のことです。財産を認識する能力は、具体的には、自分がどのような種類の財産(土地、建物、預貯金など)をどれくらい所有しているのかを把握していることが求められます。また、相続人を認識する能力とは、配偶者や子供、親など、法律上、相続人となる人々を理解している必要があるということです。さらに、これらの財産と相続人を踏まえて、誰にどの財産を相続させるかという適切な判断を下せる能力も必要です。遺言能力は、年齢だけで判断されるものではありません。たとえ高齢であっても、上記の能力が十分にあれば有効な遺言を作成できます。逆に、若い人でも、病気や事故などで判断能力が低下している場合は、遺言能力がないと判断される可能性があります。認知症や精神疾患などで判断能力が低下している場合は、特に注意が必要です。遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言の二種類があります。公正証書遺言を作成する場合、公証人が遺言者の能力を確認します。自筆証書遺言の場合、証人による能力の確認はありませんが、後日、裁判で遺言の有効性が争われた際に、遺言を作成した時点での能力が問題となる可能性があります。そのため、医師の診断書を用意するなど、遺言能力を証明できる資料を準備しておくと安心です。家族や信頼できる人に相談し、客観的な意見を聞くことも有効です。遺言能力の有無は、最終的には裁判所が判断します。将来、遺言の内容について争いが起きないように、遺言を作成する際には、慎重な準備と対応が必要です。
