遺留分

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法律

遺留分放棄のすべて

人は誰しもいつかは亡くなります。そして、亡くなった後に残された財産を巡って、遺された家族間で争いが起こってしまうことは、残念ながら少なくありません。特に、遺言書の内容に納得がいかない場合、揉め事に発展しやすいものです。例えば、親が特定の子にだけ財産を多く残すような内容の遺言を残していた場合、他の子供たちは不公平だと感じ、不満を抱くかもしれません。そのような将来の争いを防ぐための有効な手段の一つとして、「遺留分放棄」という制度があります。遺留分とは、民法で定められた、相続人が最低限受け取ることができる相続分の割合のことです。たとえ遺言書で特定の人に全ての財産を譲ると書かれていたとしても、他の相続人はこの遺留分を請求することができます。しかし、この遺留分を巡る争いは、家族関係を悪化させる大きな原因となります。そこで、あらかじめ遺留分を放棄しておくことで、将来の紛争を未然に防ぐことができるのです。この遺留分放棄は、公正証書によって行います。つまり、証人二人立ち会いのもと、公証役場で手続きを行う必要があるということです。口約束や個人的な文書だけでは無効となるため、注意が必要です。また、一度放棄した遺留分は、後から取り戻すことができません。ですから、遺留分放棄を決める前に、家族とよく話し合い、将来のことをじっくり考えて、慎重に判断することが大切です。安易に放棄を決めてしまうと、後で後悔することになりかねません。人生における大きな出来事だからこそ、専門家に相談するなど、確かな情報に基づいて、落ち着いて手続きを進めるようにしましょう。
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遺留分減殺請求:相続紛争を防ぐために

人が亡くなり、その方の財産を相続する際、故人の意思を尊重することは大切ですが、一方で、特定の相続人が不当に冷遇されることを防ぐための制度も必要です。これを「遺留分」と言います。故人は遺言で自由に財産の分配方法を決めることができますが、一定範囲の相続人には最低限の相続分が法律で保障されているのです。この最低限の相続分を「遺留分」と言い、兄弟姉妹以外の相続人には、本来相続できるはずの財産の半分、兄弟姉妹にはありません。もし、遺言や生前贈与によって自分の遺留分が侵害されている場合、侵害された相続人は「遺留分減殺請求」を行うことができます。これは、侵害された自分の遺留分に相当する財産を請求できる権利です。例えば、本来相続できるはずの財産の半分が遺留分である人が、遺言によって全く財産をもらえなかった場合、その人は遺留分減殺請求によって、本来相続できるはずだった財産の半分を請求できます。ただし、この請求には期限があります。自分が相続開始を知ったとき、または自分の遺留分が侵害されている事実を知ったときから1年以内に請求しなければなりません。また、相続開始から10年が経過した場合も請求権は消滅します。遺留分減殺請求を行う際は、後の揉め事を防ぐため、内容証明郵便を使って正式な手続きを踏むことをお勧めします。口頭での約束や簡単な書面でのやり取りだけでは、言った言わないの争いになってしまう可能性があります。内容証明郵便であれば、いつ、誰が、どのような内容で相手に伝えたのかを明確な記録として残すことができます。また、内容証明郵便を送るという行為自体が、相手方への強い意思表示となるため、話し合いを有利に進める効果も期待できます。
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遺留分:相続における最低保証

人が亡くなると、その方の財産は相続人に引き継がれますが、その際に故人の意思を表す遺言書があれば、それに従って財産が分配されます。しかし、故人の意思を尊重しつつも、残された家族の生活を守るために、法律である民法は「遺留分」という制度を設けています。この遺留分とは、相続人に最低限保障される相続財産の割合のことです。たとえ故人が遺言で特定の人に全ての財産を譲ると書いていても、法律で定められた一定の割合は、他の相続人が請求することで受け取ることができます。これは、遺言によって財産を奪われ、生活に困窮する人を防ぐための重要な制度です。具体的に誰が遺留分を請求できるのかというと、配偶者、子ども、そして子どもがすでに亡くなっている場合は孫が該当します。兄弟姉妹には遺留分はありません。また、遺留分の割合は相続人の関係によって異なり、配偶者と子どもがいる場合はそれぞれ4分の1、子どもだけがいる場合は3分の1、配偶者だけがいる場合は2分の1となっています。遺留分を侵害されたと考える相続人は、相続開始を知ってから1年以内、または侵害を知ってから10年以内に、侵害している相手に対して「遺留分減殺請求」を行うことができます。この請求によって、本来受け取るべき遺留分の財産を返還してもらうことが可能です。ただし、生前に贈与を受けた場合などは、贈与を受けた日から1年以内に贈与者に対して「遺留分減殺請求」を行う必要がありますので注意が必要です。遺言を作成する際、あるいは相続が発生した際には、遺留分の存在を意識することはとても大切です。遺留分を無視した遺言は、後に家族間で争いを引き起こす可能性があります。専門家である弁護士や司法書士などに相談することで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。円満な相続を実現するためにも、遺留分についてしっかりと理解しておくことをお勧めします。