負担付き贈与

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法律

贈与の条件:負担付き贈与とは?

贈与とは、財産を相手に無償で譲り渡す行為を指します。つまり、見返りを求めない好意によって財産を移転させることです。これに対し、負担付き贈与とは、この無償の贈与に一定の条件を付加したものを指します。贈与を受ける側、つまり受贈者には、贈与と引き換えに何らかの義務が課せられます。この義務を「負担」と呼び、負担付き贈与の核心を成す要素です。この負担の内容は、金銭の支払いや労働の提供、特定の行為の遂行など、実に多様な形をとることが可能です。例えば、親が子供に家屋を贈与する場面を考えてみましょう。この際、親は子供に対して「毎月一定額の生活費を支払う」という条件を付けることができます。これが負担付き贈与の一例です。子供は家屋という財産を得る代わりに、親に生活費を支払う義務を負うことになります。また、事業承継の場面でも、負担付き贈与はしばしば用いられます。例えば、会社経営者が後継者に事業を譲り渡す際に、「従業員の雇用を維持する」という条件を付けることが考えられます。この場合、後継者は事業を承継するのと引き換えに、従業員の雇用を守る義務を負います。このように、負担付き贈与は単なる財産の移転だけでなく、贈与者と受贈者双方の様々な意向や目的を反映させることができます。負担の内容や程度は、贈与者と受贈者間の合意によって自由に決められます。ただし、負担が過度に重く、贈与の利益を著しく損なう場合には、実質的に売買とみなされる可能性もあります。贈与と売買の境界は曖昧な場合もあり、負担付き贈与を行う際には、その内容を慎重に検討する必要があります。また、負担の内容によっては、税金や登記手続きなどに影響が出る場合があるので、専門家への相談も検討すると良いでしょう。