解除

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受領遅滞:債権者が受取を拒否したらどうなる?

お金を貸した相手が期日通りに返済しようとしたにも関わらず、貸した側が受け取らなかったり、受け取ることができなかったりする状態のことを「受領遅滞」といいます。これは、民法で定められた概念で、借りた側が返済の申し出を適切に行ったにも関わらず、貸した側の都合で受領が滞ってしまうことを指します。 具体例を挙げると、約束した期日に指定の銀行口座へお金を振り込んだにも関わらず、貸した側の口座情報に誤りがあり入金できなかった場合が考えられます。また、現金で直接返済する約束をしていたにも関わらず、貸した側が約束の日にちや場所に現れなかった場合も該当します。ほかにも、貸した側が一方的に返済を拒否した場合や、貸した側の都合で返済を受け取れる状態にない場合なども「受領遅滞」とみなされます。 重要なのは、借りた側が返済する意思と能力を持ち、きちんと返済の申し出をしていることです。例えば、期日までに返済資金を用意できなかったり、返済の意思を示さなかったりする場合は、受領遅滞にはなりません。借りた側が適切に返済しようと試みたにも関わらず、貸した側の事情でそれが叶わない場合にのみ、受領遅滞の状態が発生するのです。 受領遅滞になると、貸した側にはいくつかの不利益が生じます。例えば、借りた側がそのお金を裁判所などに供託することで、利息の支払いが免除される場合があります。また、万が一、借りた側が預かっていたお金を紛失したり盗難に遭ったりした場合でも、貸した側は責任を負わなければなりません。このように、受領遅滞は貸した側に大きなリスクをもたらす可能性があるため、お金を貸す際は、返済方法や連絡手段などを事前にしっかりと確認し、円滑な返済が行えるように配慮することが大切です。
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贈与の条件:負担付き贈与とは?

贈与とは、財産を相手に無償で譲り渡す行為を指します。つまり、見返りを求めない好意によって財産を移転させることです。これに対し、負担付き贈与とは、この無償の贈与に一定の条件を付加したものを指します。贈与を受ける側、つまり受贈者には、贈与と引き換えに何らかの義務が課せられます。この義務を「負担」と呼び、負担付き贈与の核心を成す要素です。 この負担の内容は、金銭の支払いや労働の提供、特定の行為の遂行など、実に多様な形をとることが可能です。例えば、親が子供に家屋を贈与する場面を考えてみましょう。この際、親は子供に対して「毎月一定額の生活費を支払う」という条件を付けることができます。これが負担付き贈与の一例です。子供は家屋という財産を得る代わりに、親に生活費を支払う義務を負うことになります。 また、事業承継の場面でも、負担付き贈与はしばしば用いられます。例えば、会社経営者が後継者に事業を譲り渡す際に、「従業員の雇用を維持する」という条件を付けることが考えられます。この場合、後継者は事業を承継するのと引き換えに、従業員の雇用を守る義務を負います。このように、負担付き贈与は単なる財産の移転だけでなく、贈与者と受贈者双方の様々な意向や目的を反映させることができます。 負担の内容や程度は、贈与者と受贈者間の合意によって自由に決められます。ただし、負担が過度に重く、贈与の利益を著しく損なう場合には、実質的に売買とみなされる可能性もあります。贈与と売買の境界は曖昧な場合もあり、負担付き贈与を行う際には、その内容を慎重に検討する必要があります。また、負担の内容によっては、税金や登記手続きなどに影響が出る場合があるので、専門家への相談も検討すると良いでしょう。
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契約解除の基礎知識

契約解除とは、すでに有効な合意をなかったものとすることです。当事者の一方的な申し出によって、最初から合意が成立していなかったのと同じ状態に戻す、強い効力を持つ行為です。 たとえば、商品の売買で合意した場合を考えてみましょう。売り手が約束の日までに商品を届けなかった場合、買い手は合意を解除し、売買そのものを無効にすることができます。まるで最初から売買の約束をしていなかったかのような状態に戻ります。このように、契約解除は合意していた内容をなかったこととする強力な手段です。 契約解除が認められるのは、主に債務不履行など、合意した当事者の一方に責任がある場合です。約束を破った側、あるいは義務を果たさなかった側に非がある場合に、相手方は契約解除という手段を行使できます。しかし、自分の都合だけで勝手に合意を解除することはできません。解除するためには、筋の通った理由が必要です。 合意の内容を記した書面に解除に関する項目がある場合は、その項目に従って手続きを進める必要があります。また、口頭での約束の場合でも、法で定められた条件を満たせば解除は可能です。口約束だからといって、必ずしも解除できないわけではありません。 契約解除と似た言葉に「解約」がありますが、この二つは意味が異なります。解約は将来に向かって合意の効力をなくすものですが、契約解除は過去の時点に遡って合意の効力をなくすものです。この違いをよく理解しておくことが大切です。たとえば、あるサービスの利用を途中でやめる場合は「解約」ですが、サービス開始当初からなかったものとするのが「契約解除」です。両者の違いをはっきりと把握しておきましょう。