脅迫

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離婚

離婚無効の基礎知識

夫婦関係を解消する離婚には、様々な決まりごとがあります。離婚届を役所に提出することで、法的に夫婦ではなくなりますが、中には、書類の手続きが済んでいても、無効とされる場合があります。これを「離婚無効」と言います。離婚無効とは、最初から離婚が成立していないと見なされることで、書類の上では手続きが完了していても、法律上は結婚が継続しているものとして扱われます。離婚無効の主な原因は、当事者に離婚の意思がないにもかかわらず、離婚届が提出された場合です。例えば、配偶者に内緒で勝手に離婚届を偽造し、提出した場合などがこれに当たります。また、離婚届に必要事項の記入漏れがあったり、偽りの記載があった場合も、離婚無効となる可能性があります。例えば、本人の知らないところで勝手に名前を書かれたり、印鑑を押された場合、あるいは、証人の署名や押印が偽造されていた場合などです。離婚無効の重要な点は、裁判の手続きを経ずに、当然に無効となる点です。つまり、離婚届が無効であれば、改めて無効を主張する裁判を起こす必要はありません。最初からなかったものとして扱われ、婚姻関係は継続しているとみなされます。ただし、離婚届が無効であることを証明する必要があります。例えば、偽造された離婚届の場合は、筆跡鑑定などで証拠を集める必要があります。また、脅迫されて離婚届にサインした場合などは、その事実を証明する必要があります。離婚無効は、婚姻関係の継続を意味するため、年金分割や財産分与、慰謝料請求など、様々な法的効果に影響を及ぼします。もしも、自分の知らない間に離婚届が提出されていたり、不当な圧力によって離婚届を書かされたなど、離婚無効の疑いがある場合は、速やかに専門家に相談することが大切です。
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取り消し:なかったことにできる契約?

約束や契約は、当事者同士の自由な意思に基づいて行われるべきです。私たちの社会は、この自由な意思表示という大原則の上に成り立っています。しかし、現実には、様々な事情でこの原則が守られない場合があります。例えば、相手を騙したり、脅迫したりして、無理やり契約を結ばせるといったケースです。このような不正な手段によって歪められた意思表示に基づいて結ばれた契約は、果たして有効と言えるでしょうか?このような場合に、契約をなかったことにしてくれるのが「取り消し」という制度です。「取り消し」とは、瑕疵のある意思表示、つまり不正な影響を受けてなされた意思表示を無効にすることができる制度です。この制度があるおかげで、私たちは不正な契約から守られ、公正な取引を行うことができます。具体例を挙げてみましょう。ある人が、土地を売却しようと考えていました。そこに、別の者が近づいてきて、「この土地は将来、価値がなくなる」と嘘を言い、本来の価格よりはるかに安い値段で土地を買い取る契約を結びました。この場合、土地を売却した人は、騙されて、本来の価格より安い値段で土地を手放すという不当な契約を結ばされています。このような場合、売却した人は、契約を取り消すことができます。契約が取り消されると、その契約は最初から無効となります。つまり、上記の例では、土地の売買自体がなかったことになり、売却した人は土地を取り戻すことができます。このように、「取り消し」は、不正な手段によって不当な契約を結ばされた人を守るための、非常に重要な制度と言えるでしょう。ただし、取り消しを行使するためには、一定の期間制限があります。不正な行為があったことを知ってから一年以内、または契約締結から十年以内に、裁判所に取り消しを請求する必要があります。この期間を過ぎると、たとえ不正な手段で契約が結ばれていたとしても、取り消すことができなくなるので注意が必要です。
法律

公務執行妨害と探偵の関わり

公務執行妨害とは、読んで字のごとく、公務員が職務を滞りなく行うことを邪魔する行為を罰するものです。これは、私たちが安全で秩序ある暮らしを送る上で、なくてはならない公務を保護するために設けられています。もし公務員の仕事が妨げられてしまうと、社会全体の安全や秩序が乱れてしまうかもしれません。ですから、公務執行妨害は決して軽い罪ではありません。具体的にどのような行為が公務執行妨害にあたるのかというと、例えば、警察官が正当な理由で逮捕しようとしている人を、無理やり逃がしたり、警察官に暴力を振るったりすることが挙げられます。また、裁判所の職員が仕事で質問している際に、嘘の証言をして邪魔をすることも該当します。このように、公務員の職務を妨げる行為は、種類を問わず、広く公務執行妨害に含まれる可能性があります。ただし、ここで注意しなければならないのは、公務員の行っている職務が適法なものである必要があるということです。もし、公務員が法律に反した行為をしている場合は、それを妨害しても罪にはなりません。例えば、職務質問をする権限のない私服の警察官に抵抗した場合は、公務執行妨害にはあたらない可能性があります。また、自分や他人の生命や身体を守るためにやむを得ず抵抗した場合(正当防衛)や、火事などから逃げるためにやむを得ず公務員の職務を妨害した場合(緊急避難)も、罪には問われません。さらに、公務執行妨害が成立するためには、公務員の職務を妨害しようとする「故意」が必要です。うっかり公務員の足を引っ掛けて転ばせてしまったとしても、わざとやったのではない場合は、罪にはなりません。つまり、公務員の職務執行を邪魔しようという意思がなければ、公務執行妨害には問われないということです。このように、公務執行妨害は、様々な要素を考慮して判断される必要がある、複雑な犯罪なのです。