法律 立証責任:真実を明らかにする鍵
裁判とは、一体どちらの主張が正しいのかを白黒はっきりさせる場です。そのために、証拠に基づいて事実関係を細かく調べていきます。しかし、時には証拠が足りなかったり、あいまいなことで事実がはっきりしないこともあります。このような場合、どちらの側に不利な判断を下すのかを決める重要なルールが『立証責任』です。立証責任とは、いわば真実を明らかにする責任の所在をはっきりさせる重要な考え方です。立証責任を負う側には、必要な証拠を提出して事実を証明する責任が生じます。もし、証拠が不十分で事実が証明できないと、自分に不利な判決が出てしまう危険があります。この立証責任は、訴訟の種類や内容によって、どちらの側に課されるのかが違ってきます。例えば、お金の貸し借りなどの争いを扱う民事訴訟と、犯罪行為を裁く刑事訴訟では、立証責任の所在が大きく異なります。民事訴訟では、原則として、自分の主張を立証する責任は自分自身にあります。例えば、お金を貸したと主張する人は、お金を貸したという証拠を提出しなければなりません。一方、刑事訴訟では、検察官が被告人の犯罪を立証する責任を負います。被告人は、自分の無実を証明する責任はありません。検察官が、被告人が犯罪を犯したという十分な証拠を提出できなければ、被告人は無罪となります。このように、民事訴訟と刑事訴訟では、立証責任の所在が大きく異なるため、それぞれの訴訟における立証責任の役割を正しく理解することが大切です。立証責任を理解することは、裁判の流れを理解し、自分にとって有利な主張を行うために非常に重要と言えるでしょう。
