空中権

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法律

空の上の権利:空中権とは?

私たちが普段何気なく見上げる空にも、実は権利が存在します。それが「空中権」です。土地の所有権は、土地の表面だけでなく、地下や上空にも及ぶと考えられています。もし、上空の空間に対しての権利が制限なく認められると、飛行機の飛行や人工衛星の打ち上げなど、社会生活に様々な支障が出てしまいます。そこで、土地所有者の権利を地上から一定の高さまでに制限し、その範囲内でのみ認められる権利として「空中権」が設定されています。空中権は、他人の土地の上空を一定の範囲で利用する権利です。例えば、鉄道会社が高架線を建設する場合、線路の上の空間を利用する必要があります。この時、鉄道会社は高架線の真下の土地の所有者から空中権を取得することで、高架線を設置することが可能になります。同様に、送電線や電波塔、橋なども空中権に基づいて設置されています。また、マンションなどの建物の最上階部分の上空に広告塔などを設置する場合にも、空中権の考え方が適用されます。空中権を設定する範囲は、土地の所有者と利用者の間で自由に決めることができます。空中権の範囲は、利用目的や周辺の環境などを考慮して設定される必要があり、必要以上に広い範囲の空中権を設定することは認められません。また、空中権を設定する際は、土地の所有者との間で契約を結び、権利関係を明確にすることが重要です。空中権は、登記することで第三者に対抗することが可能になります。このように、空中権は土地所有者と工作物設置者の利害を調整し、社会活動を円滑に進めるために重要な役割を担っています。私たちの生活は、目に見えないところで空中権によって支えられていると言えるでしょう。