法律 無限責任と有限責任:起業家の選択
会社を興す、つまり事業を始める際には、まず事業の形態を選ぶ必要があります。その中でも特に重要なのが、社員の種類、言い換えれば出資者の責任の範囲を決めることです。大きく分けて、無限責任を負う社員と有限責任を負う社員の二種類があります。無限責任を負う社員とは、会社が作った借金に対して、自分の財産すべてを使って責任を負う社員のことです。例えば、事業がうまくいかず、多額の借金を抱えてしまった場合、家や車など、自分の持っているすべての財産を売ってでも借金を返済する義務があります。これは大変重い責任ですが、その分、経営への発言力も大きくなります。一方、有限責任を負う社員は、出資した金額を限度として責任を負います。つまり、出資した金額以上の責任を負うことはありません。事業が失敗し、多額の借金を抱えてしまった場合でも、出資した金額以上の支払いを求められることはありません。比較的リスクが少ないため、多くの会社でこの形態が選ばれています。この二つの違いは、事業の危険性への対応に大きく影響します。無限責任を負う社員は、事業の成功に大きな責任を持つ一方、失敗した場合のリスクも大きいです。有限責任を負う社員は、リスクは少ないですが、経営への影響力は小さくなります。そのため、事業を始める人は、自分の置かれている状況や、どれだけの危険性を負えるのかをよく考えて、どちらの社員形態を選ぶのか慎重に決める必要があります。出資額、経営への関わり方、そして将来設計などを総合的に判断し、最適な形態を選択することが、事業の成功へと繋がる第一歩と言えるでしょう。
