法律 確定判決の効力:既判力とは
人が争いを起こし、それを裁判で解決する場合、最終的な判決には特別な効力が生じます。これを「既判力」と言います。この効力は、一度確定した判決が、後に蒸し返されるのを防ぐための重要な仕組みです。もし、同じ争いについて何度も裁判を起こすことができてしまったら、社会全体の秩序が乱れてしまうかもしれません。そのため、既判力は、社会の安定を維持するために不可欠なものと言えるでしょう。例えば、AさんがBさんに貸したお金を返してもらえず、裁判を起こしたとします。裁判の結果、BさんはAさんにお金を返すように命じられました。この判決が確定すると、Bさんはもう同じ理由で再び裁判を起こすことはできません。これが既判力の効果です。仮にBさんが判決に納得できなくても、改めて同じ主張を裁判で繰り返すことは認められないのです。既判力は、当事者だけでなく、裁判所にも拘束力を持つため、裁判所も一度確定した判決と矛盾する判断を下すことはできません。また、既判力は民事事件だけでなく、刑事事件にも適用されます。一度無罪判決が確定した事件について、再び同じ犯罪で起訴することはできません。これは「一事不再理」の原則と呼ばれ、憲法にも保障されている重要な権利です。このように、既判力は私たちの権利や義務に大きな影響を与えるとともに、社会秩序を守る重要な役割を担っています。複雑な権利関係の中で私たちは生きていますが、その中で既判力は、一度解決した問題を蒸し返される不安から私たちを守り、安心して生活できる基盤を提供していると言えるでしょう。
