離婚 離婚と破綻主義:責任を問わない?
夫婦関係が修復できないほど壊れてしまった場合、どちらに悪いところがあったのかを問わずに離婚を認める考え方を、破綻主義といいます。たとえば、性格が合わない、価値観が異なる、長い間別々に暮らしているといった理由で、夫婦の愛情や信頼関係がすっかりなくなってしまい、もはや一緒に生活していくことができない状態だとします。このような場合、たとえどちらにもはっきりとした非がないとしても、破綻主義の考え方であれば離婚が認められることがあります。これは、修復できないほど壊れてしまった関係を無理に続けさせるよりも、それぞれが新しい人生を歩む権利を大切にするという考え方に基づいています。従来の考え方では、不貞行為や暴力など、どちらか一方にはっきりと悪いところがある場合にのみ離婚が認められる傾向がありました。しかし、破綻主義は、どちらが悪いのかということよりも、夫婦関係の現状を重視するという点で、画期的な考え方だと言えるでしょう。夫婦が一緒に生活していく上で大切なのは、お互いを思いやる気持ちや信頼関係です。これらが失われてしまった場合、たとえどちらにも大きな落ち度がないとしても、一緒に生活を続けることは難しいでしょう。破綻主義は、このような状況を考慮し、どちらが悪いのかを追求するのではなく、夫婦関係が実際にどうなっているのかに着目します。これにより、壊れてしまった関係に苦しむ人たちが、より早く新たな人生をスタートさせることができるようになります。破綻主義は、現代社会における夫婦関係の多様化を反映した考え方とも言えます。結婚生活を続けることが難しい理由は様々であり、必ずしもどちらか一方に責任があるとは限りません。破綻主義は、こうした複雑な状況に対応するための、柔軟な考え方と言えるでしょう。
