
探偵の視点:牽連犯とその深層
つながりを持つ犯罪、いわゆる牽連犯とは、それぞれ単独で成立する複数の犯罪行為が、相互に関連し合い、ある行為が他の行為の手段や目的となっている場合に成立する犯罪のことです。平たく言えば、ある悪いことをするために、別の悪いことをする、あるいはある悪いことをした結果として、別の悪いことが起こってしまう状態のことを指します。
例えば、お金を盗むために人の家に忍び込んだ場合を考えてみましょう。この場合、家に勝手に侵入したことで住居侵入罪、お金を盗んだことで窃盗罪という二つの罪が成立します。この二つの罪は、お金を盗むという目的と、家に侵入するという手段の関係にあり、牽連犯として扱われます。
もう少し具体的な例を挙げましょう。泥棒がお金や物を盗む目的で、窓ガラスを割って家の中に侵入したとします。この時、窓ガラスを割る行為は器物損壊罪、家の中に侵入する行為は住居侵入罪、お金や物を盗む行為は窃盗罪に該当します。これら一連の行為は、最終的な目的である盗みを働くために行われたものであり、それぞれの行為は密接な関係にあります。つまり、牽連犯の関係にあると言えるのです。
他にも、誰かを脅して無理やりお金を奪う、恐喝の場合を考えてみましょう。脅迫という行為自体が犯罪であると同時に、その脅迫によってお金を奪うという窃盗罪が成立します。これもまた、脅迫という手段と窃盗という目的が結びついているため、牽連犯となるのです。このように、複数の犯罪行為が複雑に絡み合い、全体として一つの大きな犯罪を構成するのが牽連犯の特徴です。一つ一つの行為は独立した犯罪ですが、互いに関連し合っているため、まとめて一つの犯罪として扱われるのです。