権利義務

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法律

実体法と手続法:法律の二つの顔

実体法とは、私たちの権利や義務の中身を定めた法律です。つまり、どのような権利や義務があって、それらがどのように発生し、変化し、そして消滅するのか、といった具体的な決まりごとを定めたものです。私たちの社会生活における権利義務関係の土台となるものであり、私たちの行動の道しるべとなる重要な役割を担っています。 例として、売買の約束事を考えてみましょう。買った人と売った人の間で、それぞれどのような責任が生じるのか、ものの所有権はどのように移るのか、といった具体的なことを定めているのが民法です。民法は実体法の代表的な例です。また、人殺しや盗みといった悪い行いを定め、それに対する罰を決めている刑法も実体法です。さらに、会社を立ち上げ、運営していく上での決まりごとを定めた会社法も実体法の一つです。 実体法は、私たちの社会の秩序を保ち、公平な社会を作るために欠かせないものです。私たちの日常生活の色々な場面で、実体法は私たちの権利を守り、義務をはっきりさせることで、円滑な社会生活を支えています。例えば、交通事故にあった場合、損害を賠償する範囲や方法を決めるのも実体法です。また、土地や建物を売買する約束を交わす際、所有権が移るための条件を決めるのも実体法です。 実体法は、手続きを定めた手続法と対比されるものです。例えば、裁判の手続きは、民事訴訟法などの手続法で定められています。実体法が「どのような権利があるか」を定めるのに対し、手続法は「その権利を実現するためにはどのような手続きが必要か」を定めます。両者は車の両輪のように、私たちの権利義務関係を適切に機能させるために欠かせないものです。このように、実体法は私たちの生活の様々な場面に深く関わっており、その大切さを理解することは、私たち自身の権利と義務を守る上でとても大切です。
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相続の基礎知識:複雑な手続きを紐解く

人が亡くなると、その人が持っていたすべての財産、土地や建物、預貯金、車、貴金属など、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて、すべてまとめて他の人に引き継がれます。このことを相続と言います。これは、亡くなった人の財産を適切に管理し、社会の秩序を守るために、法律で定められた大切な制度です。 相続では、財産を引き継ぐだけでなく、亡くなった人の意思を尊重し、残された家族の暮らしを守るという意味もあります。例えば、亡くなった人が生前に「この家は長男に相続させたい」という遺言書を残していた場合、その意思を尊重して相続が行われます。また、残された家族が生活に困らないように、一定の財産は配偶者や子どもに相続されることが法律で保障されています。 相続は人生の最後の段階で起こる出来事であり、誰もがいつか必ず経験することです。そのため、相続の基本的な仕組みや手続きについて、あらかじめ知っておくことが大切です。相続には、複雑な手続きや法律が関わることが多く、遺産分割協議や相続税の申告など、様々な手続きが必要になります。場合によっては、相続人間でトラブルが発生することもあります。 相続を円滑に進めるためには、事前の準備と専門家への相談が重要です。例えば、遺言書を作成しておくことで、自分の意思を明確に伝えることができます。また、弁護士や税理士などの専門家に相談することで、複雑な手続きや法律問題をスムーズに解決することができます。相続は、人生における大きな転換期であり、残された家族が安心して生活していくためにも、適切な準備と対応が必要です。