
離婚と性格の不一致:法的視点からの考察
人と人が共に暮らしを営む上では、それぞれの持ち味や考え方の違いは避けられません。時に小さな言い争いになったり、気持ちのすれ違いが生じることもあるでしょう。しかし、「性格の不一致」と呼ばれるものは、こうした日常的なささいな摩擦とは一線を画す深刻な問題です。「性格の不一致」とは、夫婦間の相性が合わず、一緒に生活していくことが困難になるほどの大きな争いや不和が生じている状態を指します。
これは、単なる一時的な感情の行き違いや些細な意見の相違ではありません。互いの価値観や日々の暮らし方、物事の考え方といった根本的な部分での違いによって引き起こされる、より根深い問題です。例えば、相手の言葉や行動に強い嫌悪感を抱いたり、意思疎通がうまくいかずに誤解や衝突を繰り返したり、一緒にいるだけで苦痛を感じてしまうといった状況が考えられます。
このような状態が長く続けば、夫婦関係は次第に悪化し、最終的には離婚という選択に至るケースも少なくありません。興味深いことに、「性格の不一致」自体は法律で明確に離婚理由として定められているわけではありません。しかし、民法770条1項5号にある「婚姻関係を続けることが難しい重大な理由」にあたると解釈されることが一般的であり、離婚が認められる根拠となるのです。
「性格の不一致」を理由とした離婚を考える際には、具体的な証拠を示すことが重要です。例えば、長期間にわたる別居や、夫婦カウンセリングの記録、相手との会話記録などが証拠として有効です。また、弁護士などの専門家に相談することも、解決への糸口を見つける上で有益と言えるでしょう。