
弁護士照会:真実解明の力
弁護士照会とは、弁護士が、依頼を受けた方の権利や利益を守るため、事件の真相解明に必要な情報を集めるための制度です。
弁護士には、依頼された事件について、事実関係を正しく理解し、適切な法律の助言や弁護活動を行う義務があります。しかし、必要な情報が相手方に隠されていたり、国や地方自治体などの公的機関に保管されている場合、弁護士自身で情報を入手することは難しいことがあります。
このような場合に、弁護士は弁護士法23条の2という法律に基づいて、所属する弁護士会を通じて、官公庁や企業などに情報の提供を求めることができます。これを弁護士照会といいます。
弁護士照会は、一般の方々には入手が難しい情報にアクセスできる、弁護士だけが持つ特別な権限です。
弁護士照会を行う際には、照会内容が事件に関連していること、そして必要最小限の情報に限られることが条件となります。これは、弁護士照会制度が、依頼人の利益を守るためであると同時に、関係者の人権やプライバシーを不当に侵害しないよう配慮されているためです。照会を受ける側は、正当な理由なく回答を拒否することはできません。もし拒否した場合には、弁護士会から回答を促す働きかけが行われます。それでも回答がない場合は、弁護士会は照会内容を公表するなどの措置をとることもあります。
弁護士照会制度は、依頼人のための情報収集手段であると同時に、社会全体の公正さを実現するための重要な役割も担っています。例えば、企業の不正行為を明らかにする、行政の不透明さを正すなど、弁護士照会は、社会正義の実現にも役立っています。弁護士は、この制度を適切に使い、依頼人の利益を守り、公正な社会を実現するために尽力しています。