差戻し

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法律

差戻判決:やり直し裁判の仕組み

裁判には、いくつかの段階があります。最初に事件を審理する場を第一審と言い、その判決に不服がある場合、控訴審、さらに上告審へと進むことができます。この控訴審や上告審で、前の裁判のやり方に誤りがあったと判断された場合、「差戻判決」が出されることがあります。 差戻判決とは、簡単に言うと、裁判のやり直しを命じる判決のことです。例えば、第一審の判決に納得がいかず控訴したとします。控訴審では、第一審の裁判記録を基に審理が行われますが、第一審で証拠の調べ方が不十分だったり、法律の解釈が間違っていたりした場合、控訴審は自ら判断を下すのではなく、第一審に事件を差し戻し、もう一度審理し直すように命じます。これが差戻判決です。 差戻の理由は様々です。例えば、重要な証拠が提出されていなかったり、証人の証言が十分に聞かれていなかったりする場合が考えられます。また、法律の適用を誤っている場合も差戻の対象となります。例えば、ある行為が犯罪に当たるかどうかの判断を誤っていたり、損害賠償の金額算定に誤りがあったりした場合などです。さらに、裁判の手続き自体に問題があった場合も差戻となることがあります。例えば、当事者に意見を述べる機会が与えられなかった場合などです。 差戻判決を受けると、第一審裁判所は、上級審の指示に従って改めて審理を行います。場合によっては、新たな証拠調べや証人尋問が行われることもあります。そして、最終的に改めて判決を言い渡します。この判決に対して再び不服があれば、また控訴することができます。 このように、差戻判決は、より正しい裁判の実現を目指すための重要な制度です。一度確定した判決が覆される可能性があるため、当事者にとっては大きな影響がありますが、真実を明らかにし、公正な判決を導き出すために重要な役割を果たしています。