
未来の権利、いま請求できる?将来給付の訴え
将来給付の訴えとは、まだ受け取る権利が生まれていない、これから受け取るお金などについて、前もって裁判所に訴えを起こし、判決を求める手続きのことです。簡単に言うと、将来もらえるはずのお金について、前もって裁判で決めてもらうということです。
例えば、会社員が不当解雇された場合、これからもらえるはずだった給料について、将来給付の訴えを起こすことができます。また、離婚の際に、これから支払われるはずの養育費や年金分割について、前もって裁判で決めてもらうことも可能です。他にも、将来支払われる予定の地代や家賃なども、将来給付の訴えの対象となります。
通常、裁判では既に発生した権利について争いますが、将来給付の訴えは、これから発生するであろう権利について、前もって確定させるための制度です。これは、将来の争いを防ぎ、権利関係をはっきりさせることで、社会の秩序を守ることを目的としています。
しかし、将来給付の訴えは、誰でも自由に起こせるわけではありません。法律では、将来給付の訴えを起こせる場合を限定しています。具体的には、将来の権利が不安定な状態に置かれており、訴えを起こすことで権利を守らなければならない場合にのみ認められます。つまり、将来お金などをもらえる保証がなく、訴えを起こさなければ権利の実現が難しくなるような状況でなければ、将来給付の訴えは認められないのです。
例えば、相手が会社を倒産させようとしている場合や、財産を隠そうとしている場合など、将来の給付が受けられなくなる可能性が高い場合には、将来給付の訴えが認められる可能性があります。しかし、単に将来の給付が心配だというだけでは、将来給付の訴えは認められません。
このように、将来給付の訴えは限定的に運用されています。これは、不要な訴訟を減らし、裁判所の負担を軽くするとともに、訴えられる側の権利も守るためです。将来給付の訴えは、将来の権利を守るための重要な制度ですが、その要件は厳しく定められていることを理解しておく必要があります。