離婚 親権変更、調停の基礎知識
夫婦が別れる際、子供にとってどちらの親がより良い養育者となるかを決めるのが親権です。これは、子供の住む場所や教育方針を決める権利を指し、監護権と呼ぶこともあります。いったん定められた親権は、そう簡単に変更できるものではありません。人生は常に変化するものであり、親の環境や子供の成長に伴い、より良い養育環境が変わる可能性もあるでしょう。例えば、親の再婚や転居、あるいは子供の年齢や意思など、様々な要因が考えられます。このような状況の変化により、親権の変更が必要となるケースも当然あります。しかし、一度決めた親権を、当事者同士の話し合いだけで変更することは、法律で認められていません。たとえ両親が合意していたとしても、子供の幸せを最優先に考える必要があるため、必ず家庭裁判所の判断が必要です。これは、子供がまだ判断能力が未十分であること、また、感情的な対立に巻き込まれてしまう可能性があることを考慮してのものです。親権を変更したい場合は、家庭裁判所に調停か審判を申し立てる必要があります。調停とは、家庭裁判所の調停委員を交えて、当事者同士が話し合い、合意を目指す手続きです。審判とは、調停が成立しなかった場合に、裁判官が子供の福祉を最優先に考慮して、親権者を決定する手続きです。家庭裁判所は、親権変更の可否を判断する際、様々な要素を考慮します。例えば、子供の年齢や意思、両親の養育能力や環境、兄弟姉妹との関係などです。特に、子供が15歳以上の場合、その意思は非常に尊重されます。また、これまでの監護状況や、親子の面会交流の状況なども重要な判断材料となります。これらの手続きは、子供の利益を守るための大切な仕組みです。勝手な変更は認められず、法的な手続きを経ることで、公正な判断が下されるようになっているのです。
