契約解除

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法律

債務不履行と法的措置

約束事を守らないことを、法律では債務不履行といいます。これは、あらかじめ交わした契約で決めた義務を期日までに果たさないことを意味します。 お金の支払いが期日までにされていない場合が、代表的な例です。例えば、毎月決まった日に支払うことになっている住宅の借り入れ金の返済が遅れている状態は、債務不履行にあたります。また、クレジットカードで買った商品の代金を支払わない場合も同様です。 お金の支払い以外にも、様々なものが債務不履行の対象となります。例えば、お店で買い物をしたのに商品を渡してもらえない、頼んだ工事が期日までに終わらないといった場合も、債務不履行にあたります。契約で決めた物の受け渡しやサービスの提供が期日までにされていない場合も、債務不履行となるのです。 重要なのは、契約でどんな義務が決められていたかです。口約束だけでなく、書面で残されている契約内容が重視されます。契約書で「この日までに、これをします」と約束していたのに、それが守られていない場合は、債務不履行の状態にあるといえます。 債務不履行は、債権者、つまり約束を守ってもらえなかった側に大きな損害を与える可能性があります。お金の支払いが滞れば、生活に困る場合もありますし、商品が届かなければ、事業に支障が出る可能性もあります。そのため、債務不履行に対しては、督促状を送ったり、裁判を起こしたりするなど、適切な対応をする必要があります。場合によっては、財産の差し押さえといった厳しい措置が取られることもあります。債務不履行は、軽い気持ちで見過ごせる問題ではありません。約束はきちんと守ることが大切であり、万が一守れない場合は、すぐに相手に連絡し、誠意をもって対応することが重要です。
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クーリング・オフ:冷静な判断で契約を見直す

お客さまを守るための大切なしくみであるクーリング・オフ制度についてご説明いたします。これは、販売員が自宅や職場に直接訪れたり、電話で勧誘したりする訪問販売や電話勧誘販売などで、お客さまがその場で契約を迫られる状況から守るための制度です。 訪問販売や電話勧誘販売といった販売方法では、お客さまは冷静に考える時間がないまま契約をせかされることが多く、必要のない商品やサービスを買ってしまう危険性があります。このような不当な契約からお客さまを守るため、クーリング・オフ制度では、一定の期間内であれば、理由を問わずに契約を解除することができます。 クーリング・オフ期間は、契約書面を受け取った日から始まります。この期間内であれば、書面で通知を送るだけで簡単に契約を解除できます。違約金や損害賠償金を支払う必要も一切ありません。解除の通知は、書面が相手方に到達した時点で効力が発生しますので、配達証明付きの郵便等で送るのが確実です。 クーリング・オフ制度を利用することで、契約直後の高揚感や不安が落ち着いた後で、本当に必要な契約だったのかどうかをじっくり考える時間が持てます。契約内容をよく理解しないまま契約してしまった場合や、後から考え直したくなった場合でも、クーリング・オフ期間内であれば安心して契約を解除できます。 ただし、クーリング・オフ制度が適用される取引の種類やクーリング・オフ期間の長さには限りがありますので、契約前にしっかりと確認することが大切です。契約書面にクーリング・オフに関する事項が記載されていない場合は、消費生活センターなどに相談することをお勧めします。
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不完全履行:契約トラブルとその対処法

約束事をきちんと果たしていない状態を不完全履行といいます。これは、当事者間で取り決められた契約の内容に沿って、債務を負う側が債権を持つ側に対して何かを行うべきときに、その行為が契約で定められた通りではない場合を指します。 例えば、お店で5個のりんごを注文したのに、3個しか届かなかった場合を考えてみましょう。これは、りんごを全く送らなかったわけではなく、一応届いているものの、数が合っていないため、不完全履行にあたります。 また、家を建てる契約で、設計図では窓を3つ付けることになっていたのに、実際に建てられた家には窓が2つしかなかった場合も、不完全履行となります。これも、家を全く建てなかったわけではなく、一応完成しているものの、設計図と異なるため不完全履行とみなされます。 重要なのは、全く何もしなかったわけではないという点です。もし何もしていなければ、それは「履行不能」、つまり約束事を全く果たせない状態です。また、約束の期日までに履行が完了していなければ、「履行遅滞」、つまり約束の期日を過ぎてしまっている状態です。不完全履行は、これらとは異なり、一応履行はしているものの、契約内容と完全に一致していない状態を指します。 不完全履行は、約束をきちんと果たしていないという意味で、債務不履行の一種です。債務不履行とは、債務者が債権者に対して負っている義務を果たさないことを広く指す言葉です。債権者は、不完全履行に対して、契約内容どおりの完全な履行を求めたり、損害を賠償するように請求したり、契約を解除したりといった対応をすることができます。