
離婚と夫婦間契約の解消
夫婦間契約とは、結婚している二人で将来のことについて約束事を決めておくことです。たとえば、財産をどのように分けるか、生活費はどのように負担するか、子どもが生まれたらどちらが親権を持つのかなど、結婚生活における様々な取り決めをしておくことができます。口頭での約束でも法的には有効ですが、後々「言った」「言わない」でもめるのを防ぐために、文書に書いて残しておくことが大切です。
この夫婦間契約は、結婚生活を円滑に進める上で重要な役割を果たします。例えば、家事や育児の分担、週末の過ごし方、親の介護など、普段の生活で起こりうる様々な問題について事前に話し合い、合意しておくことで、のちのちのトラブルを未然に防ぐことができます。また、夫婦間で金銭の管理方法や財産の処分方法を決めておくことで、将来の相続問題で揉めるリスクを減らすこともできます。
しかし、夫婦間契約には注意すべき点もあります。夫婦の一方が強い立場を利用して、もう一方に不利益な内容の契約を押し付ける可能性があるからです。例えば、一方的に財産を放棄させたり、親権を奪ったりするような契約は、公序良俗に反するものとして無効となります。また、たとえ契約時に合意していたとしても、生活環境の変化などによって一方の配偶者に不利益が生じる場合があります。このような場合に備えて、法律では夫婦の一方的な意思で契約内容の一部または全部を取り消せる権利を認めています。つまり、一方的に不利な内容になってしまったり、状況が変化して困るようになった場合には、契約を見直すことができるのです。
夫婦間契約は、結婚生活をより良く送るための大切なツールです。しかし、契約内容をよく吟味し、将来の様々な可能性を考慮した上で、慎重に作成する必要があるでしょう。