
養育費増額請求:離婚後の変化に対応
夫婦が別れる際、子どもの養育費について取り決めを行います。しかし、人生には様々な変化がつきものです。離婚時は予想もしていなかった出来事が起こる可能性も当然あります。例えば、子どもが思いがけず病気になったり、進学にあたり必要となる費用が当初考えていたよりもずっと多くなるといった事態が生じるかもしれません。このような状況の変化に対応できるように、法律では養育費を増やすよう求めることを認めています。これは、離婚後に起こった経済的な変化を踏まえ、子どもの健やかな成長のために必要な費用を確実に得られるようにするための制度です。
最初に取り決めた養育費の額では、子どもの幸せを守るのに十分ではないと判断される場合、裁判所を通して増額を求めることができます。具体的には、子どもの病気や怪我による医療費の増加、学校で必要となる教材費や給食費の値上がり、私立学校への進学、習い事にかかる費用の増加など、様々な事情を理由として請求できます。
養育費の増額を請求する際には、現在の養育費の金額、子どもの年齢、生活水準、収入や支出の変化、子どもの進学状況などを具体的に示す必要があります。証拠となる書類、例えば、医療費の領収書、学校の請求書、給与明細などを用意することで、請求が認められる可能性が高まります。
また、当事者間の話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停では、調停委員が間に入り、当事者双方の意見を聞きながら、合意形成を目指します。調停で合意が成立すれば、それは法的拘束力を持つ調停調書となります。もし調停で合意に至らなくても、審判手続きに移行し、裁判官が養育費の額を決定します。
養育費は子どもの健やかな成長を支えるための大切なものです。生活環境の変化によって養育費が不足している場合は、ためらわずに増額請求を検討してみましょう。専門家である弁護士に相談することで、手続きをスムーズに進めることができます。