探偵業界用語 否認の姿勢:『あごばる』とは何か?
「あごばる」とは、取り調べや裁判の場で、疑いをかけられている人が自分の潔白を強く主張し、あらゆる疑惑を全面的に否定する様子を表す言葉です。疑いを認めるどころか、提示された証拠や証人の言葉、あらゆるものを否定し、徹底的に争う姿勢を示します。どんなことがあっても無実を訴え続ける、頑固な状態を表していると言えるでしょう。この言葉は、強く否定する時の表情から生まれたと言われています。無実を主張する強い気持ちがあごの筋肉に表れ、あごが前に突き出て見えるのです。このようなあごを突き出すような頑なな表情は、見ている人によっては開き直っているように感じられたり、あるいは事実を知っていながら隠そうとしているようにも受け取られたりします。そのため、「あごばる」という言葉には、好ましくないイメージが含まれていることが多いです。ただ単に事実を否定しているだけでなく、その態度や表情、そして言葉の節々に、強い抵抗感や反発心が感じられることが特徴です。例えば、窃盗事件の取り調べで、容疑者が「あごばる」態度を取るとどうなるでしょうか。犯行現場付近の防犯カメラに映っていた人物が自分であることを示す証拠を突きつけられても、頑なに「自分は違う」と言い張り、一切の関与を否定します。目撃証言が出てきても、「嘘をついている」と切り捨て、自分の無実を訴え続けます。このような態度は、捜査を難航させるだけでなく、裁判でも不利に働く可能性があります。なぜなら、「あごばる」という態度は、周囲に「何かを隠している」「やましいことがある」という印象を与えやすく、結果として心証が悪くなってしまうからです。場合によっては、反省の色が見られないと判断され、量刑にも影響する可能性も否定できません。このように、「あごばる」という言葉は、単なる否認ではなく、強い抵抗感や反発心を伴う、独特の態度を表す言葉として使われています。そして、その態度はしばしば、本人が意図しない形で、周囲に悪い印象を与えてしまう可能性があることを忘れてはなりません。
