取下げ

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法律

訴えの取下げ:訴訟終了の選択

訴えの取下げとは、民事裁判で、原告が訴えを取りやめる手続きのことを指します。民事裁判は、当事者間の揉め事を裁判所の判断で解決するための場ですが、訴えの取下げを行うと、原告の意思でこの解決手続きを終わらせることができます。例えるなら、建てた舞台を壊すようなもので、裁判による揉め事解決の手続きをなかったことにするようなものです。 ただし、この舞台の撤去は、原告の勝手な判断だけではできません。相手である被告が既に裁判に積極的に関わっている場合、つまり、反論や証拠の提出など、自分の言い分を主張し始めている場合は、被告の承諾なしに訴えを取り下げることはできません。これは、被告にも裁判を通して揉め事を解決する権利が認められているからです。既に裁判に時間やお金を使っている被告にとって、原告の都合だけで裁判が打ち切られるのは不公平ですし、また同じ訴えを起こされる可能性も残ってしまいます。ですから、被告の承諾を得ることで、裁判の終了についてお互いの合意を作る必要があるのです。 訴えを取り下げると、裁判は最初からなかったものと見なされます。つまり、裁判で争われた事実や証拠は、後の裁判に影響を与えず、同じ問題で再び訴えを起こすことが可能になります。しかし、安易な訴えの取下げは、裁判所の貴重な時間と労力の無駄遣いにつながります。訴えを起こす際には、よく考えて慎重な判断が求められます。また、一度取り下げた訴えを再び起こす場合、裁判費用なども再度負担する必要があるため、その点も踏まえて検討する必要があります。