協議

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法律

遺産分割禁止の基礎知識

遺産分割禁止とは、相続が発生した後に、一定の期間、遺産の分割を保留する制度です。これは、相続が発生した直後は、相続人の間で感情的な対立が生じやすかったり、遺産の全体像がはっきりとわからない場合が多いため、早まった分割による争いを防ぐ目的で設けられています。 遺産分割が禁止されている期間は、相続財産は相続人全員の共有状態となります。それぞれの相続人は、自分の相続分に相当する部分について、財産の管理や利用をする権利を持ちます。例えば、賃貸物件が遺産に含まれる場合、その家賃収入は相続分に応じて各相続人に分配されます。また、自宅が遺産の場合、それぞれの相続人は、自分の相続分に相当する範囲内で、その家を利用する権利を持ちます。 しかし、共有状態である以上、相続人は自分の相続分を自由に処分することはできません。例えば、共有状態の土地を売却したい場合、他の相続人全員の同意を得る必要があります。同様に、共有状態の預貯金を解約する場合も、他の相続人全員の同意が必要です。仮に、他の相続人の同意を得ずに勝手に処分してしまうと、後でトラブルになる可能性があります。 遺産分割禁止の期間は、法律で定められているわけではなく、遺言で指定することができます。遺言で指定がない場合は、相続人の間で話し合い、期間を決めることになります。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。調停では、裁判官が間に入り、相続人たちの状況を考慮しながら、適切な分割方法や期間について話し合いを進めてくれます。このように、遺産分割禁止は、相続人間での無用な争いを避けるための重要な制度と言えるでしょう。
離婚

財産分与の基礎知識

夫婦が離婚する際、結婚生活中に二人で築き上げた財産を分けることを財産分与といいます。これは、結婚生活を通して夫婦が協力して家計を支え、共に財産を形成してきたという考え方に基づいています。ですから、離婚によって夫婦関係が解消される際に、この共同で築いた財産をどのように分けるかを定めることが財産分与の目的です。 財産分与の対象となる財産は様々です。現金で持っている預貯金はもちろん、土地や建物などの不動産、車や貴金属、さらには株式や投資信託なども含まれます。重要なのは、婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産であるかどうかという点です。結婚前からそれぞれが個人的に所有していた財産や、結婚後に相続や贈与によって得た財産は、原則として財産分与の対象にはなりません。つまり、財産分与は、あくまで夫婦共有の財産を公平に分配するためのものなのです。 財産分与は、単純な財産の分配にとどまりません。例えば、住宅ローンが残っているマイホームであっても、財産分与の対象となります。この場合、住宅の価値と残りのローン債務を考慮して、どのように分けるかを決めなければなりません。また、将来受け取れる年金についても、婚姻期間中に支払った保険料に基づいて財産分与の対象となる部分があります。このように、財産分与は、離婚後の生活設計に大きな影響を与える重要な手続きです。離婚協議や調停、裁判などを通して、財産分与の内容をしっかりと話し合い、合意することが大切です。複雑なケースでは、専門家である弁護士などに相談することも有効な手段となります。