
婚姻費用:夫婦生活の経済的基盤
結婚生活を送る上で、お金の問題は避けて通れません。夫婦と、その扶養されている子どもが人間らしい暮らしを送るために必要な費用全般を、婚姻費用と言います。婚姻費用には、衣食住といった基本的な生活費はもちろんのこと、教育費、医療費、そして趣味や楽しみのための費用、人付き合いにかかる費用なども含まれます。つまり、家族が社会生活を営む上で必要な費用すべてが婚姻費用と考えられるのです。
これは、ただ生きていくための最低限の費用ではありません。夫婦の社会的な立場や、普段の生活水準にふさわしい費用であることが大切です。例えば、収入が多い夫婦の場合、子どもの教育費として私立学校を選んだり、習い事や旅行といった費用も婚姻費用に含まれると考えられます。
反対に、収入が少ない夫婦であっても、子どもの成長に必要な教育や医療は守られるべきです。そのため、これも婚姻費用として考えられます。生活水準は人それぞれで異なり、それぞれの夫婦の状態によって判断する必要があるため、一律の基準で金額を決めることはできません。
婚姻費用は、夫婦がお互いに協力し合って負担する必要があります。もし離婚する場合には、夫婦間で話し合い、それぞれの収入や子どもの年齢、生活環境などを考慮して、毎月の金額や支払い方法を決めることになります。
合意に至らない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることもできます。家庭裁判所は、夫婦双方の事情を詳しく調べ、公正な判断を行います。婚姻費用は、家族が安心して生活していくための大切なものです。それぞれの状況に応じて、きちんと話し合い、適切な金額を決めることが重要です。