免除

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法律

過剰防衛:正当防衛との境界線

身の安全や財産を守るために、やむを得ず誰かを傷つけてしまう、そんな状況を考えてみてください。法律では、このような場合「正当防衛」という考え方があり、一定の条件を満たせば、罪に問われないことがあります。正当防衛とは、自分や他人の生命、体、自由、財産といった権利が不当に脅かされた時に、それに対抗するため、やむを得ず危害を加える行為が違法とはされないことです。 正当防衛が認められるためには、まず、差し迫った不正な攻撃がなければなりません。過去に受けた攻撃や、これから起こるかもしれない攻撃に対して、先手を打って反撃することは正当防衛にはあたりません。攻撃はまさに今、起こっているものでなければならないのです。例えば、暴漢に襲われそうになったその瞬間に行う反撃は、正当防衛になり得ますが、後日、仕返しに暴漢を襲うのは正当防衛にはなりません。 次に、反撃はその攻撃を防ぐためのものでなければなりません。また、その反撃は必要最小限の範囲で行われなければなりません。他に身を守る方法がない状況で、攻撃に対抗するために必要な範囲での反撃でなければ正当防衛は認められません。例えば、素手で襲ってくる相手に、いきなり銃で反撃するのは、過剰防衛にあたる可能性が高く、正当防衛は認められません。また、相手が既に攻撃をやめて逃走しているにもかかわらず、追いかけて攻撃するのも、正当防衛の範囲を超えていると判断される可能性があります。 このように、正当防衛は、急迫不正の侵害から自分や他人を守るための、必要最小限度の反撃として認められます。正当防衛が認められるかどうかは、個々の状況によって判断されます。事件の状況、攻撃の程度、反撃の程度など、様々な要素を考慮し、総合的に判断されます。もし、このような状況に巻き込まれた場合は、警察や弁護士に相談することをお勧めします。
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遺産分割と持戻免除:相続人の権利を守る

人は亡くなると、その人の財産は残された家族に引き継がれます。この財産の受け渡し手続きを相続と言い、相続手続きの中で重要なのが遺産分割協議です。遺産分割協議とは、相続人たちが集まり、誰がどの財産をどれだけ受け継ぐのか話し合って決めることです。 この遺産分割協議をスムーズに進めるためには、故人の財産の全体像を把握することが必要です。預貯金や不動産だけでなく、株や債券、自動車、貴金属なども含まれます。さらに、故人に借金があった場合は、それも財産の一部として扱われます。これらの財産を全て洗い出し、プラスの財産とマイナスの財産を合計したものが相続財産の全体像となります。 相続財産の全体像が明らかになったら、次に各相続人の法定相続分を確認します。法定相続分とは、法律で定められた相続人の相続割合のことです。配偶者と子供がいる場合は、配偶者が二分の一、子供が二分の一を相続します。子供がいなければ、配偶者が三分の二、故人の両親が三分の一を相続します。 しかし、生前に故人から財産をもらっていた場合、持ち戻しという制度によって相続分が調整されることがあります。例えば、故人が生前に特定の子供に多額の贈与をしていた場合、その贈与額は相続財産の一部とみなされ、遺産分割協議の際に考慮されます。これは、他の相続人との公平性を保つための制度です。 この持ち戻しによって相続人間で不公平感が生まれることを避けるために、「持戻免除の意思表示」という方法があります。これは、故人が生前に特定の相続人に対して行った贈与について、持ち戻しの対象外とする意思表示のことです。この意思表示があれば、その贈与は相続財産とはみなされず、他の相続人の相続分に影響を与えません。持戻免除の意思表示は、遺言書や贈与契約書に記載することで行うことができます。このように、持ち戻しと持戻免除の意思表示を理解することで、相続手続きを円滑に進めることができるでしょう。