先決問題

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法律

中間確認の訴え:訴訟手続きの効率化

{民事裁判は、時になるべくして複雑で長引くものになりがち}です。とりわけ、いくつもの法律問題が入り組んでいるときには、それぞれの出来事について別々に訴えを起こさなくてはならないことがあり、時間もお金もかかるだけでなく、裁判に関わる人たちの負担も大きくなります。たとえば、ある人が交通事故でけがをした場合、加害者に対して損害賠償請求をしますが、怪我の程度が重く、将来どれくらい治療費や生活費がかかるのかをすぐには確定できないことがあります。このような場合、将来の損害について改めて訴えを起こす必要があり、二度手間になってしまいます。また、ある契約が無効かどうかを判断する訴訟と、その契約に基づく損害賠償請求訴訟を別々に起こす必要がある場合など、関連する訴訟が複数にわたるケースも考えられます。このような問題を解決する方法の一つとして、あらかじめ特定の法律関係を確認してもらう訴えがあります。これは、まだ具体的な損害が発生していない段階、あるいは将来発生する可能性のある損害について、前もって裁判所に判断を求めることができる制度です。例えば、交通事故で将来の損害が確定していない場合、怪我の程度や後遺症の可能性などについて医師の診断書などの証拠を提出して裁判所に判断を求めることができます。また、契約の有効性をめぐる紛争の場合、将来の損害賠償請求訴訟に先立って、契約の有効性についてのみ先に判断を求めることも可能です。このように、この制度を利用することで、将来の紛争を予防したり、訴訟を一つにまとめて時間と費用を節約したり、紛争の早期解決を図ることができます。ただし、この制度を利用するためには一定の要件を満たす必要があり、必ずしも認められるとは限りません。どのような場合に利用できるのか、どのような効果があるのか、どのような注意点があるのかなど、専門家によく相談することが大切です。