法律 行使上の一身専属権:権利行使の特殊性
法律の世界では、権利を持つ人がその権利を行使することは当然のことです。しかし、中には権利の性質上、特定の人しか行使できない権利があります。これを一身専属権と言います。一身専属権とは、文字通り、その人の身にのみ属する権利であり、他人が代わりに権利を行使することは認められません。例として、画家の創作活動における権利を考えてみましょう。画家が自分の絵画を売却する権利は、画家本人しか行使できません。他人が画家の絵を勝手に売却することは法律で禁じられていますし、たとえ画家が他人に売却を頼んだとしても、その人は代理として売却することはできません。売買契約という行為自体が画家本人しか行えない行為だからです。同様に、画家が自分の絵画を展示する権利、複製を作る権利なども、すべて画家自身にのみ認められた一身専属権です。一身専属権は、人格と密接に結びついている権利であるため、その性質上、他人に譲ったり、相続させることはできません。仮に譲渡や相続が認められると、権利の行使が本来の権利者以外の人によって行われることになり、権利の趣旨が損なわれてしまうからです。例えば、著名な画家の死後、その画家の画風を真似た絵が、相続人によって勝手に売買されてしまうと、画家の評価や芸術的価値が大きく損なわれる可能性があります。このような事態を防ぐためにも、一身専属権は譲渡や相続ができないものとされているのです。このように、一身専属権は、権利の主体に強く結びついた、非常に個人的な権利と言えるでしょう。この権利は、個人の創造性や人格を保護する上で重要な役割を果たしています。そのため、一身専属権の理解は、法律の世界だけでなく、日常生活においても重要です。
