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裁判

財産保全の切り札:仮差押えとは?

お金を貸したにも関わらず、返済期日を過ぎてもお金が戻ってこない。このような状況では、お金を借りた人が財産を処分してしまい、最終的に返済不能になってしまうのではないかという不安に襲われるのも無理はありません。特に、借りた人の経済状況が悪化しているという情報が入れば、なおさらです。裁判で勝訴判決を得たとしても、強制執行する財産がなければ、その判決は無意味なものになってしまいます。このような不測の事態を避けるために、民事保全法には「仮差押え」という制度が用意されています。仮差押えとは、裁判所に申し立てを行い、裁判所の決定に基づいて、債務者の特定の財産を一時的に凍結する手続きです。預貯金や不動産、給料などが対象となります。仮差押えの決定がなされると、債務者はその財産を売却したり、譲渡したり、担保に入れたりすることができなくなります。これにより、将来、裁判で勝訴した場合に備えて、強制執行できる財産を確保しておくことができるのです。いわば、貸したお金が回収できなくなるリスクに備える、債権者のための安全装置と言えるでしょう。例えば、貸金返還請求訴訟を起こすことを考えているとします。訴訟を起こす前に、債務者が所有する不動産を売却してしまう可能性を懸念する場合、その不動産に仮差押えをしておくことができます。仮差押えがされていれば、債務者はその不動産を処分できなくなるため、たとえ訴訟が長引いたとしても、最終的に勝訴判決を得ることができれば、その不動産に対して強制執行を行うことができるのです。仮差押えは、将来の判決による強制執行を確実なものとするための重要な手段であり、債権回収において大きな役割を果たします。債権者が自らの権利を守るために、適切に活用することが重要です。