
離婚と財産保全:仮差押命令
夫婦の別れ話がうまく進まない時、お金や土地などの財産を隠したり、勝手に売ってしまう人がいるかもしれません。このような困った事態を防ぐため、後にきちんと財産を分けたり、慰謝料を受け取ったりするために、「仮差押さえ命令」という方法があります。これは、裁判所に申し立てて認められると、相手方が財産を勝手に処分できなくなる強力な手段です。
離婚の話し合いがこじれてしまうと、相手が財産を隠したり、急に価値の低い物と交換したり、売却してしまったりする可能性があります。そうなると、たとえ離婚が成立しても、財産分与や慰謝料をきちんと受け取ることが難しくなります。このような不利益を避けるために、財産を保全する有効な手段として「仮差押さえ」があります。これは、裁判所に申し立てを行い、認められると、相手方の財産を凍結するような効果があります。つまり、相手方はその財産を売ったり、贈与したり、担保に入れたりといった処分ができなくなります。
仮差押さえは、将来の財産分与や慰謝料の支払いを確保するための強力な武器となりますが、申し立てを行うには正当な理由が必要です。例えば、相手方が財産を隠匿しようとしている具体的な証拠や、処分してしまうおそれがある合理的な理由を提示しなければなりません。また、仮差押さえが認められるためには、申し立てと同時に担保金を裁判所に納付する必要があります。これは、万が一仮差押さえが不当であった場合に、相手方に生じた損害を賠償するためのものです。担保金の額は、裁判所がケースに応じて決定します。
仮差押さえは強力な権利である一方、相手方の財産を拘束するという点で、相手方の権利を大きく制限する側面も持ちます。そのため、安易な気持ちで利用すべきではありません。仮差押さえの必要性や、その手続き、注意点などについて、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家の助言を受けることで、状況に応じた適切な対応をとることができます。冷静に状況を判断し、慎重に行動することが大切です。