
債務引受け:免責型と同意の重要性
お金を借りた人が返済義務を他の人に引き渡すことを、債務引受けと言います。この債務引受けには、大きく分けて二つの種類があります。一つは、元々の借りた人も引き続き返済義務を負う併存的債務引受けです。これは、保証人に似ていますが、保証人と違って、債権者は元々の借りた人にも、新しく返済義務を負う人にも、直接返済を請求できます。例えば、親が子供のために借金の返済義務を引き受け、親子で一緒に返済していく場合などがこれに当たります。
もう一つは、元々の借りた人が返済義務から解放される免責的債務引受けです。こちらは、元々の借りた人に代わって、新しく返済義務を負う人が全ての責任を負うことになります。この免責的債務引受けは、債権者にとって影響が大きいため、特に注意が必要です。
元々の借りた人に比べて新しく返済義務を負う人の財産が少ない場合、債権者が回収できる金額が減ってしまう可能性があります。例えば、安定した収入のある会社員が借りたお金を、収入の少ない学生が引き受けた場合、返済が滞ってしまうかもしれません。また、たとえ新しく返済義務を負う人に十分な財産があったとしても、今まで信頼関係を築いてきた借りた人が変わることで、債権者にとっては心理的な不安が生じることもあります。
免責的債務引受けを行う場合は、債権者の同意が必要です。債権者は、新しく返済義務を負う人の財産状況や返済能力などを確認し、納得した上で同意します。債権者の同意なしに債務引受けを行うことはできません。債務引受けは、当事者間だけでなく、債権者にも大きな影響を与えるため、慎重に進める必要があります。