
成年後見制度の基礎知識
成年後見制度は、判断する力が十分でないおとなの方々を守るための仕組みです。人は誰でも年を重ねるにつれて、あるいは病気や事故などによって、判断する力が弱まる可能性があります。これまで出来ていたお金の管理や契約といった法律行為が、自分自身で行うことが難しくなることもあるでしょう。そのような状況になったとき、本人の意思を尊重しつつ、不利益を被らないように、必要な範囲で支援を行うのが成年後見制度の目的です。本人の暮らしの安全と権利を守るための重要な役割を担っています。
具体的には、預貯金の出入金管理や、不動産の売買、介護施設への入所契約といった行為が挙げられます。判断能力の衰えた方がこれらの行為を自分一人で行うことは難しい場合、後見人等が本人に代わって行ったり、本人に代わって同意を与えたりすることで、本人を保護します。例えば、悪質な訪問販売などで高額な商品を買わされてしまうといったトラブルから守ったり、適切な介護サービスを受けられるように契約の手続きをしたりするなど、後見人は本人の生活を守り、権利を守るための様々なサポートを行います。
この制度は、社会的に弱い立場にある方々を守るためのセーフティネットとして、近年ますます重要性を増しています。高齢化社会の進展とともに、認知症高齢者も増加しており、財産を狙った悪質な犯罪の被害に遭ってしまうケースも少なくありません。成年後見制度は、このような社会問題から本人を守るための盾としての役割を担い、安心して暮らせる社会の実現に貢献しています。また、後見人等による不正行為を防ぐための監督体制も整備されており、制度の信頼性を高めるための努力も続けられています。