使用貸借

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法律

無償で借りるということ:使用貸借の基本

使用貸借とは、物を無償で借り、使った後に元の状態で返す契約です。貸し借りするものは、自転車や自動車、書籍、衣服など様々ですが、いずれも借りた人が料金を支払う必要はありません。無償であることが使用貸借の大きな特徴です。もしお金を払って借りる場合は、賃貸借という別の契約になります。例えば、友人に自転車を借りて近所の図書館に行く、あるいはアルバイト先へ行くといった場合、使用貸借が成立します。この時、自転車を貸した友人は貸主、借りた人は借主となります。借主は自転車を自由に使うことができますが、善良な管理者の注意義務をもって取り扱う必要があります。つまり、丁寧に扱い、盗難や破損に注意しなければなりません。万が一、故意または重大な過失によって自転車を壊してしまった場合、借主は貸主に対して損害賠償責任を負うことになります。使用貸借のもう一つの重要な点は、借りたものをそのままの形で返すことです。例えば、友人に米を借りて炊いて食べてしまった場合、同じ米を返すことはできません。このような場合は、消費貸借という別の契約になります。また、借りた自転車を勝手に他の人に貸すこともできません。これは無償で借りているという契約の性質上、借主のみが使用することを前提としているからです。このように、使用貸借は「無償で借りる」「同じ物を返す」という二つの点が重要な契約なのです。使用貸借は、私たちの日常生活でよく見られる契約の一つです。友人や家族間でのちょっとした貸し借りは、ほとんどの場合、使用貸借に該当します。契約書を交わすことは少ないですが、無償での貸し借りという認識があれば、使用貸借の成立を意識することができます。日頃から使用貸借の原則を理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、良好な人間関係を築くことに繋がるでしょう。