
将来に備える任意後見制度
人は誰でも年を重ね、心身の力が衰えていくものです。そうなったとき、自分の財産を守ったり、生活のあれこれを自分で決めたりすることが難しくなるかもしれません。そんな将来に備えて、元気なうちに準備できるのが任意後見制度です。
任意後見制度とは、将来、判断力が衰えた場合に備え、信頼できる人をあらかじめ後見人として選んでおく制度です。誰に後見人を頼むのか、どんなことをしてもらうのかを元気なうちに決めておき、公正証書という正式な書類に残しておきます。
後見人になってくれる人は家族や親戚、友人、あるいは弁護士や司法書士などの専門家でも構いません。誰にお願いするかは、あなた自身が決めることができます。そして、後見人には、あなたの財産を管理してもらったり、生活に必要な手続きを代行してもらったり、介護サービスの契約などをしてもらったりすることができます。後見人に何をしてもらうのかは、あなたの希望に合わせて細かく決めることができます。例えば、預貯金の出し入れや不動産の管理をどこまで任せるのか、医療や介護についてどんなことを決めてもらうのかなどを具体的に決めておくことができます。
任意後見制度は、家庭裁判所が後見人を選ぶ法定後見制度とは違います。法定後見は、すでに判断力が衰えてしまった後に、家庭裁判所が本人にとって適切な後見人を選任する制度です。一方、任意後見制度は、まだ判断力がしっかりしているうちに、将来の後見人やその役割を自分で決めておくことができます。つまり、自分の意思を尊重した、より自分らしい生活を送るための準備と言えるでしょう。
高齢化が進む現代社会において、任意後見制度は、人生の最期まで自分らしく生きるための心強い味方となるでしょう。将来への不安を和らげ、安心して暮らしていくために、任意後見制度について考えてみてはいかがでしょうか。