事故

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制度

等級据置事故:保険料据置の仕組み

自動車を所有し運転する人にとって、自動車保険は必要不可欠です。事故を起こした場合、保険によって金銭的な負担を軽減できますが、翌年の保険料が上がることを心配する人も少なくありません。これはノンフリート等級制度と呼ばれる仕組みにより、事故を起こすと等級が下がり、それに伴い保険料が上がるからです。しかし、全ての事故で等級が下がるわけではありません。「等級据置事故」に該当する場合は、事故を起こしても等級が変わらず、保険料も据え置きとなります。 等級据置事故とは、事故の発生原因が運転者にない場合に適用される制度です。例えば、信号待ちで停車中に後続車に追突された場合を考えてみましょう。この場合、停車していた運転者には過失がないと判断されるため、等級据置事故となる可能性が高いです。同様に、駐車中に他の車が衝突してきた場合や、相手がひき逃げや当て逃げをして特定できない場合も、等級据え置きとなることが多いです。 また、自動車の運転中に落石や飛来物、飛び出してきた動物と衝突した場合も、等級据置事故となる可能性があります。これらの事故は、運転者がどのように注意していても避けられない場合が多く、運転者に責任を負わせることが難しいからです。このように、不可抗力な事故による不利益から運転者を守るために等級据置事故という制度が設けられています。等級据置事故の適用可否は状況によって判断されますので、事故に遭った場合は保険会社に相談することが大切です。 等級据置事故には様々なケースがあり、相手車両の運転者が飲酒運転や薬物使用で正常な運転ができない状態であった場合もこれに含まれる場合があります。また、相手車両が故障していたために事故が発生した場合も、状況によっては等級据置事故とみなされることがあります。このように、等級据置事故は運転者の責任によらない様々な状況を考慮した制度と言えるでしょう。
法律

安全配慮義務:雇用者の責任

人が人と関わり合う社会において、互いを思いやり、危険から守ることは当然の務めです。これを安全配慮義務と言い、雇用関係のように、ある特定の人間関係において、特に重要視されます。これは、書面で取り交わした契約書に明記されていなくとも、社会全体の認識として、当然に守るべき義務とされています。会社と従業員の関係で言えば、会社は従業員が安心して働けるよう、安全な職場環境を整備する義務があります。危険を伴う作業を従業員にさせる場合には、適切な指示や指導を行い、安全な用具や装備を支給するなど、安全確保のために必要な措置を講じなければなりません。 例えば、建設現場で働く従業員に、安全帯を支給せずに高所作業をさせることは、安全配慮義務違反にあたります。また、真夏の炎天下で長時間屋外作業をさせる場合、休憩時間を適切に設けたり、水分補給を促したりするなどの対策を怠ることも、安全配慮義務違反となる可能性があります。従業員が精神的な負担を抱えている場合も同様です。過度な残業や、同僚からの嫌がらせなどによって、従業員の心身に不調が生じた場合、会社は状況を改善する義務があります。 この安全配慮義務の根拠となるのが、民法の信義則です。信義則とは、社会における誠実さや道徳に基づき、互いに正直で誠実な行動をとるべきだという原則です。安全配慮義務は、雇用関係に限らず、公務員と市民、教師と生徒、医師と患者など、様々な人間関係において適用されます。社会全体が安心して暮らせるよう、一人ひとりが互いを尊重し、安全に配慮する意識を持つことが大切です。