中断

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法律

訴訟中断:代理人の役割

裁判では、争っている当事者双方の言い分を聞き、証拠を調べ、最終的にどちらの言い分が正しいかを判断します。しかし、裁判の途中で当事者に何らかの事情が生じ、裁判に参加できなくなってしまう場合があります。このような場合に、裁判を一時的に止める制度が「訴訟中断」です。 訴訟中断となる理由として、最も一般的なのは当事者の死亡です。人が亡くなると、当然ながら裁判で自分の言い分を主張したり、証拠を提出したりすることができなくなります。そのため、相続人が裁判を引き継ぐための手続きを行うまで、裁判は中断されます。相続人が複数いる場合や、相続人がすぐに確定しない場合などは、この手続きに時間がかかることもあります。 また、当事者が意識不明の重体になったり、精神的な病気により意思表示ができなくなった場合も、訴訟中断となります。このような場合も、本人に代わって裁判を行うことのできる人が選任されるまで、裁判は中断されます。 訴訟が中断されている間は、基本的に新たな手続きは行われません。例えば、裁判の日程が決められていたとしても、中断中はその日程で裁判は行われません。また、新たな証拠を提出することもできません。 しかし、中断している間に対応しておかないと権利が失われてしまう可能性のある手続きは、例外的に認められます。例えば、重要な証拠が失われてしまうおそれがある場合などは、裁判所に申し立てを行うことで、証拠を保全するための手続きを行うことができます。これは、裁判の公正さを守るために必要な措置です。 このように、訴訟中断は、当事者に不測の事態が生じた場合でも、裁判の公正さを維持し、当事者の権利を守るための重要な制度と言えるでしょう。