不完全履行

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法律

不完全履行:契約トラブルとその対処法

約束事をきちんと果たしていない状態を不完全履行といいます。これは、当事者間で取り決められた契約の内容に沿って、債務を負う側が債権を持つ側に対して何かを行うべきときに、その行為が契約で定められた通りではない場合を指します。 例えば、お店で5個のりんごを注文したのに、3個しか届かなかった場合を考えてみましょう。これは、りんごを全く送らなかったわけではなく、一応届いているものの、数が合っていないため、不完全履行にあたります。 また、家を建てる契約で、設計図では窓を3つ付けることになっていたのに、実際に建てられた家には窓が2つしかなかった場合も、不完全履行となります。これも、家を全く建てなかったわけではなく、一応完成しているものの、設計図と異なるため不完全履行とみなされます。 重要なのは、全く何もしなかったわけではないという点です。もし何もしていなければ、それは「履行不能」、つまり約束事を全く果たせない状態です。また、約束の期日までに履行が完了していなければ、「履行遅滞」、つまり約束の期日を過ぎてしまっている状態です。不完全履行は、これらとは異なり、一応履行はしているものの、契約内容と完全に一致していない状態を指します。 不完全履行は、約束をきちんと果たしていないという意味で、債務不履行の一種です。債務不履行とは、債務者が債権者に対して負っている義務を果たさないことを広く指す言葉です。債権者は、不完全履行に対して、契約内容どおりの完全な履行を求めたり、損害を賠償するように請求したり、契約を解除したりといった対応をすることができます。