一事不再理

記事数:(1)

法律

訴えの重複:二度の提訴は許される?

同じ揉め事について、既に裁判所に訴えを起こしているにも関わらず、もう一度同じ訴えを起こすことを重複提訴と言います。これは、一度動き出した裁判手続きを尊重し、無駄を省くために法律で禁じられています。この規定は民事訴訟法142条に記されており、裁判の効率性と当事者の負担軽減という二つの大きな目的があります。裁判所は、一度訴えを受け付けると判決を出すまで審理を続けます。もし、同じ訴えが何度も起こされたらどうなるでしょうか。裁判官は同じ事件を何度も調べ直すことになり、貴重な時間と労力が無駄になってしまいます。また、裁判にかかる費用もかさみ、関係者全員にとって大きな負担となります。このような事態を防ぐのが、重複提訴の禁止です。例えば、隣の家との境界線を巡る争いで、既に裁判所に訴えを起こしたとします。判決が出る前に、もう一度同じ内容で訴えを起こしても、裁判所はそれを受け付けません。なぜなら、最初の訴訟ですでに審理が始まっているからです。既に証拠の提出や証人尋問などが行われているかもしれません。それをもう一度最初からやり直すのは、明らかに非効率です。また、重複提訴は、被告となる側にも大きな負担を強います。同じ争いについて何度も裁判所に出向いたり、弁護士に相談したりするのは、時間的にも経済的にも大変なことです。このような負担を避けるためにも、重複提訴は禁じられています。このように、一度訴えを起こしたら、判決が出るまで待つのが原則です。もし、判決に納得がいかない場合は、控訴という手段があります。重複提訴ではなく、正しい手続きに従って解決を図ることが大切です。