みなし弁済

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法律

みなし弁済:過去に埋もれた過払い金

お金を借りることは、生活を豊かにしたり、急な出費に対応したりと、私たちの暮らしを支える大切な役割を果たしています。しかし、お金を借りるということは同時に、返済という義務を負うことでもあります。特に、利息が加算されていくことで、元金よりもはるかに大きな金額を返すことになり、返済が困難になる場合も少なくありません。かつて、借金に苦しむ人々をさらに追い詰める制度がありました。それが、『みなし弁済』と呼ばれるものです。 この制度は、法律で定められた利息の上限を超えてお金を支払ってしまった場合でも、その支払いは有効だと見なされ、払いすぎたお金を取り戻すことができませんでした。例えば、法律で許される利息の上限が年15%だとします。もし、年20%という高い利息で契約し、その利息を実際に支払ってしまったとしても、超過分の5%を取り戻すことは認められなかったのです。この制度は、借主にとって非常に不利なものでした。なぜなら、法律で上限が定められているにもかかわらず、それを超える高い利息を支払わされても、泣き寝入りするしかなかったからです。 この『みなし弁済』は、過払い金請求において大きな壁となっていました。過払い金とは、法律で認められた利息よりも多く支払ってしまったお金のことです。本来であれば、この過払い金は返還請求できるはずですが、『みなし弁済』のために、それが阻まれていたのです。この制度のために、どれだけの借主が不当な負担を強いられ、苦しんできたのかを想像すると心が痛みます。この制度の問題点や廃止に至った経緯、そして現在の状況について、これから詳しく解説していきます。これにより、お金を借りることのリスクと責任、そして適切な対処法について理解を深めることができるでしょう。