不起訴になるとどうなる?不起訴のすべて
調査や法律を知りたい
先生、『不起訴処分』って、無罪と同じ意味ですか?
調査・法律研究家
いいえ、全く同じではありません。無罪とは、裁判で罪がないと判断されたこと。不起訴処分は、そもそも裁判にかけられないということです。
調査や法律を知りたい
じゃあ、不起訴処分になったら、もう何も心配いらないんですか?
調査・法律研究家
そうですね、不起訴処分になれば、その事件について裁判にかけられることはありません。ただし、検察官の判断で、再び捜査が行われる可能性もゼロではありません。
不起訴処分とは。
検察官が、罪を犯したと疑われる人を裁判にかけないことを「不起訴処分」といいます。これは、証拠が足りなかったり、無実だとはっきりしている場合に下される処分です。また、罪を犯した疑いが濃厚であっても、いろいろな事情を考慮して、裁判にかけないこともあります(これを起訴猶予処分といいます)。
不起訴処分の種類
訴えを起こさないという判断である不起訴処分には、主に二つの種類があります。一つは「嫌疑不十分」による不起訴です。これは、犯罪に関わった疑いがあるものの、証拠が足りず、疑われている人を犯人と特定できない場合に下される処分です。証拠が集まらない、証言が食い違っている、といった状況が考えられます。例えば、窃盗事件で、犯行現場付近にいたという目撃証言があるものの、犯行の様子をはっきりと見ている人がいない、物的証拠も見つからないといった場合、嫌疑不十分で不起訴となる可能性があります。もう一つは「嫌疑なし」による不起訴です。これは、調べた結果、疑われている人が犯罪に関係していないと明らかになった場合に下される処分です。最初から人を間違えて捕まえてしまった場合や、事件発生時に別の場所にいたことが証明された場合などが、これに当たります。例えば、容疑者が事件当時に海外旅行に行っていたという確かな証拠があれば、嫌疑なしで不起訴となるでしょう。
これらの他に、犯罪に関わった疑いが濃厚であるにもかかわらず、様々な事情を考慮して訴えを起こさない「起訴猶予」という処分があります。これは検察官の裁量に委ねられており、例えば、初めて罪を犯した人で反省の態度が顕著である、被害者との間で和解が成立している、といった場合に適用される可能性があります。例えば、軽い傷害事件で、加害者が深く反省し、被害者も加害者を許している場合、起訴猶予となる可能性があります。また、少年事件などでは、更生の見込みが高いと判断された場合、起訴猶予となることが多いです。不起訴処分は、検察官が様々な事情を考慮した上で最終的に判断します。不起訴となった場合でも、再び新たな証拠が見つかった場合には、改めて捜査が行われ、起訴される可能性もゼロではありません。
不起訴と起訴猶予の違い
罪に問われるか問われないかの判断は、大きく分けて『起訴』と『不起訴』の二つに分かれます。不起訴の中でも、いくつか種類があり、その違いを理解することはとても大切です。中でも重要なのが、『嫌疑なし』、『嫌疑不十分』、そして『起訴猶予』です。
まず、『嫌疑なし』とは、捜査の結果、犯罪の疑いが全くないと判断された場合です。疑いが晴れて、身の潔白が証明された状態と言えます。これに対して、『嫌疑不十分』は、犯罪の疑いはあるものの、それを証明する十分な証拠が集まらなかった場合です。つまり、無実が証明されたわけではなく、証拠が不十分なために起訴を見送られた状態です。もし、今後新たな証拠が出てくれば、再び捜査が行われ、起訴される可能性も残ります。
次に『起訴猶予』ですが、これは『嫌疑なし』や『嫌疑不十分』とは大きく異なります。『起訴猶予』は、犯罪の疑いが濃厚で、有罪判決を受ける可能性が高いにも関わらず、様々な事情を考慮して起訴を見送る処分です。例えば、犯行を深く反省していたり、被害者と示談が成立していたり、初犯で更生の見込みが高い場合などが該当します。ただし、『起訴猶予』になったからといって、無罪放免になったわけではありません。将来再び罪を犯した場合、今回の件も合わせて罪が重くなる可能性があります。
このように、『嫌疑なし』『嫌疑不十分』『起訴猶予』はそれぞれ意味が大きく異なります。特に『嫌疑不十分』と『起訴猶予』は、どちらも起訴されないという点では同じですが、『嫌疑不十分』は証拠不十分による不起訴、『起訴猶予』は情状酌量による不起訴という点で明確な違いがあります。これらの違いを正しく理解することが、不起訴処分の意味をきちんと把握することに繋がります。
種類 | 意味 | 結果 |
---|---|---|
嫌疑なし | 犯罪の疑いが全くない | 身の潔白が証明された |
嫌疑不十分 | 犯罪の疑いがあるが、証拠が不十分 | 無実の証明ではなく、証拠不十分で起訴見送り(新たな証拠で再捜査の可能性あり) |
起訴猶予 | 有罪の可能性が高いが、様々な事情を考慮し起訴を見送り | 無罪放免ではなく、将来の罪に影響する可能性あり |
不起訴後の手続き
罪に問われた人が、検察官によって訴えられないと決まった後にすることについて説明します。まず、訴えられないと決まると、その人は自由の身になります。牢に入れられていた場合は、すぐに外に出られます。この時、訴えられないと決まっただけでは、犯罪の記録は残りません。つまり、前科にはなりません。ただし、「起訴猶予」という種類の訴えられない決定の場合は少し違います。起訴猶予とは、悪いことをしたけれども、いろいろな事情を考えて訴えないという決定です。この場合、前科にはなりませんが、犯罪をしたという記録は残ります。この記録は、将来また罪を犯した場合、どれくらい重い罰にするかを決める時に参考にされることがあります。また、仕事によっては、この記録のために就けないということもあり得ます。
次に、検察官が訴えないと決めたことに納得がいかない場合、検察審査会というところに訴えることができます。検察審査会は、一般の人たちの中から選ばれた委員で構成されています。検察官の決定が正しかったかどうかを審査するところです。もし検察審査会が「訴えないのはおかしい」と判断した場合、検察官はもう一度事件を調べ直さなければなりません。そして、訴えるかどうかをもう一度考え直すことになります。つまり、検察審査会は、一般市民が検察の判断を監視する役割を果たしていると言えるでしょう。このように、不起訴処分を受けた後でも、更なる手続きが存在することを知っておくことが大切です。
不起訴と示談交渉
刑事事件を起こしてしまった場合、将来に大きな影を落とす可能性があるため、出来る限り不起訴処分を目指すべきです。不起訴処分とは、検察官が事件を裁判にかけないと判断することで、前科がつかず、社会生活への影響も最小限に抑えられます。この不起訴処分を勝ち取る上で、非常に有効な手段が示談交渉です。
示談とは、事件の加害者と被害者が直接、または代理人を通じて話し合い、損害賠償などの条件で合意することです。例えば、暴行事件で相手に怪我をさせてしまった場合、治療費や慰謝料などを支払うことで示談が成立することがあります。示談が成立すると、被害者の処罰感情が和らぎ、検察官も起訴を見送る判断をしやすくなるのです。
示談交渉は、自分自身で行うことも可能ですが、法律の専門家である弁護士に依頼することで、よりスムーズかつ有利に進めることができます。弁護士は、適切な示談金の額を算定し、被害者との交渉を代理で行ってくれます。感情的になりがちな被害者との直接のやり取りを避けることで、冷静な話し合いを進め、早期の示談成立を目指すことができます。
示談が成立すれば、不起訴処分につながるだけでなく、被害者から民事訴訟を起こされるリスクも回避できます。民事訴訟では、損害賠償の請求額が高額になる場合もあり、経済的な負担が大きくなってしまいます。そのため、事件を起こしてしまった場合には、出来るだけ早く弁護士に相談し、示談交渉を進めることが重要です。弁護士は、事件の状況を詳しく聞き取り、最善の解決策を提案してくれます。早期の対応が、今後の生活を守る上で大きな意味を持つと言えるでしょう。
探偵と不起訴
人の疑いを晴らす助けとなる証拠集めを仕事とする人もいます。そう、探偵です。彼らは事件の真相を明らかにすることで、検察官が訴えを起こさないという判断、つまり不起訴処分へと繋がる証拠を集める腕利きです。
例えば、ある人が事件に関わったと疑われたとしましょう。この時、探偵はその人が事件発生時に別の場所にいたことを証明する証拠、いわゆるアリバイを集めます。あるいは、事件とは全く関係がないことを示す証拠を集めることで、疑いがなく不起訴となる可能性を高めます。
また、被害者と加害者が話し合いで解決を目指す示談交渉においても、探偵は力を発揮します。被害者の置かれた状況や気持ちなどを丁寧に調べ、交渉を有利に進めるための情報を提供するのです。
無実の罪を着せられた冤罪事件では、探偵の調査活動が無実を証明する上で極めて重要な役割を果たすこともあります。警察の捜査で見落とされた証拠や、証言を探偵が独自に見つけることで、事件の真相が明らかになるケースも少なくありません。時には小さな手がかりから、事件の全体像を解き明かすこともあります。
探偵は、特定の立場に偏ることなく客観的に事件を調査し、真実を追い求めます。これにより、疑われた人の権利を守り、誰もが公平に扱われる公正な司法の実現に貢献しているのです。
探偵の役割 | 詳細 |
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証拠集め | 疑いを晴らす証拠を集め、不起訴処分を目指す。アリバイの証明や事件との無関係性を示す証拠を集める。 |
示談交渉の支援 | 被害者の状況や気持ちを調査し、交渉を有利に進める情報を提供する。 |
冤罪事件の解決 | 警察が見落とした証拠や証言を探し、無実を証明する。 |
客観的な調査 | 特定の立場に偏らず真実を追い求め、公正な司法の実現に貢献する。 |