実体法と手続法:法律の二つの顔

調査や法律を知りたい
『実体法』って、権利とか義務とか、そういうもののことですよね?よくわからないんですけど、もう少しわかりやすく教えてもらえませんか?

調査・法律研究家
そうですね。実体法は、私たちの権利や義務の内容を決めている法律のことです。例えば、物を買ったらお金を払わないといけないとか、誰かを傷つけたら罰せられるとか、そういうルールを決めているのが実体法です。たとえば、民法ではお金の貸し借りや売買契約、結婚や相続などについて、刑法では犯罪と罰について、商法では会社や商売に関するルールについて定めています。

調査や法律を知りたい
なるほど。お金の貸し借りとか、売買とか、そういう具体的なことを決めている法律なんですね。じゃあ、例えば、お金を貸したのに返してもらえない場合はどうなりますか?

調査・法律研究家
良い質問ですね。お金を貸したのに返してもらえない場合、裁判を起こすことができます。その裁判の手続きはどうやって進めるのか、どんなルールがあるのかを決めているのが『手続き法』です。実体法は「どんな権利があるか」を定め、手続き法は「その権利を守るにはどうすればいいか」を定めているのです。
実体法とは。
『権利や義務がどのように生まれ、変わり、消えるかなどを決めている法律』について説明します。この種類の法律を『実体法』と言います。例えば、民法や刑法、商法などがこれにあたります。一方、裁判などでこれらの法律をどのように使うかを決めているのが『手続き法』で、民事訴訟法や刑事訴訟法などがこれにあたります。
実体法の定義

実体法とは、私たちの権利や義務の中身を定めた法律です。つまり、どのような権利や義務があって、それらがどのように発生し、変化し、そして消滅するのか、といった具体的な決まりごとを定めたものです。私たちの社会生活における権利義務関係の土台となるものであり、私たちの行動の道しるべとなる重要な役割を担っています。
例として、売買の約束事を考えてみましょう。買った人と売った人の間で、それぞれどのような責任が生じるのか、ものの所有権はどのように移るのか、といった具体的なことを定めているのが民法です。民法は実体法の代表的な例です。また、人殺しや盗みといった悪い行いを定め、それに対する罰を決めている刑法も実体法です。さらに、会社を立ち上げ、運営していく上での決まりごとを定めた会社法も実体法の一つです。
実体法は、私たちの社会の秩序を保ち、公平な社会を作るために欠かせないものです。私たちの日常生活の色々な場面で、実体法は私たちの権利を守り、義務をはっきりさせることで、円滑な社会生活を支えています。例えば、交通事故にあった場合、損害を賠償する範囲や方法を決めるのも実体法です。また、土地や建物を売買する約束を交わす際、所有権が移るための条件を決めるのも実体法です。
実体法は、手続きを定めた手続法と対比されるものです。例えば、裁判の手続きは、民事訴訟法などの手続法で定められています。実体法が「どのような権利があるか」を定めるのに対し、手続法は「その権利を実現するためにはどのような手続きが必要か」を定めます。両者は車の両輪のように、私たちの権利義務関係を適切に機能させるために欠かせないものです。このように、実体法は私たちの生活の様々な場面に深く関わっており、その大切さを理解することは、私たち自身の権利と義務を守る上でとても大切です。
| 項目 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 実体法とは | 権利や義務の中身を定めた法律。権利や義務の発生、変化、消滅などの具体的な決まりごとを定める。社会生活における権利義務関係の土台。 | |
| 実体法の例:民法 | 売買の約束事における責任の発生、所有権の移転などを定める。 | 売買契約 |
| 実体法の例:刑法 | 殺人や窃盗などの犯罪行為と罰則を定める。 | 殺人罪、窃盗罪 |
| 実体法の例:会社法 | 会社の設立や運営に関する決まりごとを定める。 | 株式会社の設立 |
| 実体法の役割 | 社会の秩序と公平性を保ち、円滑な社会生活を支える。権利を守り、義務をはっきりさせる。 | 交通事故の損害賠償、土地・建物の売買 |
| 実体法と手続法 | 実体法は「どのような権利があるか」を定め、手続法は「その権利を実現するためにはどのような手続きが必要か」を定める。両者は車の両輪のように機能する。 | 民事訴訟法 |
手続法の役割

人の暮らしには様々な決まりごとがあります。大きく分けて、「何をすべきか」を決めたものと、「どのようにすべきか」を決めたものの二種類があります。前者を定めたものが実体法で、後者を定めたものが手続き法です。
手続き法とは、実体法で決められた権利や義務を実現するための手順を定めた法律です。例として、民事訴訟法や刑事訴訟法などがあります。売買の約束で売り手が品物を渡さない場合、買い手は裁判を起こして品物の受け渡しを求めることができます。この時、裁判を起こすための手順や、裁判でどのような証拠を提出するべきかなどを定めているのが民事訴訟法です。また、殺人事件が起きた場合、犯人を捕まえ、裁判にかけ、有罪を証明するための手順を定めているのが刑事訴訟法です。
実体法が「何をすべきか」を定めているのに対し、手続き法は「どのようにすべきか」を定めています。例えば、建物を建てる際に必要な高さや広さなどを定めているのが建築基準法(実体法)だとすると、建築確認申請の手続きなどを定めているのが建築基準法施行令(手続き法)です。このように、実体法と手続き法は車の両輪のように社会秩序を守る上で重要な役割を担っています。
手続き法は、実体法で定められた権利や義務を実際に実現するための道筋を示す、いわば「法律の使い方を示した説明書」のようなものです。正しい手続きを踏まなければ、実体法で認められた権利も守られないことがあります。例えば、証拠の提出方法が間違っていたり、決められた期限を守らなかったりすると、正当な権利が認められない可能性があります。そのため、手続き法は実体法と同じくらい大切であり、私たちの権利と義務を守る上で重要な役割を担っていると言えるでしょう。

両者の関係性

人の暮らしを円滑にするために、法という仕組みは必要不可欠です。この法は大きく分けて、実体法と手続き法という二つの種類があります。この二つは車の両輪のように、あるいは表裏一体のものとして、互いに深く関わり合いながら私たちの権利と義務を守っています。
実体法とは、私たちの権利や義務、それらの内容を定めたものです。例えるなら、スポーツのルールブックのようなものです。野球で言えば、ストライクは何回でアウトになるのか、何点取れば勝ちになるのか、といったルールが書かれています。日常生活では、民法、刑法、商法などが実体法に該当します。これらは、財産や契約、犯罪や罰則、会社の設立や運営など、私たちの行動の基準となるルールを定めています。
一方、手続き法とは、定められた権利や義務を実現するための方法や手順を定めたものです。これは、スポーツのルールブックに書かれたルールを実際にどのように適用し、ゲームを進めていくのかを定めたものと言えます。審判の役割やファウルがあった場合の対処法など、円滑にゲームを進めるために必要な手順が定められています。法の世界では、民事訴訟法や刑事訴訟法などが手続き法にあたります。これらは、裁判の手続きや証拠の提出方法など、権利を実現するための具体的な手順を定めています。
例えば、誰かが不当に会社を解雇されたとします。労働法(実体法)では、不当解雇から労働者を守るためのルールが定められています。しかし、もし解雇に異議を申し立てるための手続き(手続き法)がなければ、解雇された人は泣き寝入りするしかありません。いくら実体法で権利が認められていても、手続き法がなければ、その権利を守ることは難しいのです。
このように、実体法と手続き法は、私たちの権利と義務を守るために、どちらも欠かすことができません。実体法によって権利と義務の内容が明確になり、手続き法によってその権利と義務が実際に守られるのです。実体法と手続き法の両方を理解することは、法に基づいた社会で暮らす私たちにとって、とても大切なことと言えるでしょう。
| 項目 | 内容 | 例 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 実体法 | 権利や義務の内容を定める | 民法、刑法、商法、労働法 | 行動の基準となるルールを定める |
| 手続き法 | 権利や義務を実現するための方法や手順を定める | 民事訴訟法、刑事訴訟法 | 権利を実現するための具体的な手順を定める |
実体法の例

実体法とは、私たちの権利や義務といった具体的な内容を定めた法律のことです。日常生活の様々な場面で、私たちの行動の指針となるルールを規定しています。実に多くの種類の法律が実体法に該当し、それらは私たちの社会生活を支える重要な役割を担っています。
まず、私たちにとって最も身近な実体法の一つに民法があります。民法は、個人間の関係を規律する法律です。例えば、お店で買い物をした時、私たちは売買契約を結んでいます。商品の所有権がお店から私たちに移転するのも、この民法の規定に基づいています。また、家や土地といった不動産の所有権も民法によって保護されています。さらに、結婚や相続といった家族に関わる出来事も、民法で定められたルールに従って行われます。
次に、犯罪と刑罰を定める刑法も、実体法の一つです。殺人や窃盗といった行為が犯罪とみなされるのは、刑法にその規定があるからです。また、それぞれの犯罪に対してどのような刑罰が科されるかも、刑法で定められています。刑法は、社会の安全と秩序を守るために、なくてはならない法律です。
会社や商取引に関するルールを定める商法も、実体法に分類されます。会社を設立する際の手続きや、株式の発行、手形の振り出しといった企業活動は、商法の規定に基づいて行われます。商法は、経済活動を円滑に進めるための重要な役割を果たしています。
その他にも、著作権や特許権といった知的財産権を守る知的財産権法、労働条件を定める労働法、環境を守るための環境法など、様々な法律が実体法に該当します。これらの法律は、私たちの社会をより良くするためのルールを定めています。
このように、実体法は私たちの生活の様々な側面に関わっています。実体法を知ることで、私たちは自分の権利を守り、他人の権利を尊重することができます。ひいては、より良い社会を作ることに繋がるのです。

手続法の具体例

私たちの権利を守るためには、権利の内容を定めた法律だけでなく、その権利を実現するための手続きを定めた法律も重要です。このような手続きに関する法律を、手続法といいます。いくつか具体例を見ていきましょう。まず、民事訴訟法は、私人間での争い事を解決するための裁判手続きを定めた法律です。例えば、お金の貸し借りや、交通事故による損害賠償など、民事上のトラブルを裁判で解決する場合、この法律に従って手続きを進める必要があります。具体的には、どのように裁判を起こすのか、どのような証拠を裁判所に提出するのか、判決はどのように言い渡されるのかといったことが、細かく決められています。
次に、刑事訴訟法は、犯罪に関する捜査や裁判の手続きを定めた法律です。もし誰かが罪を犯した場合、警察や検察は、この法律に基づいて捜査を行います。例えば、逮捕や勾留、家宅捜索といった手続きは、すべてこの法律で定められています。また、裁判で証拠を調べたり、被告人や弁護士が意見を述べたり、判決を言い渡したりといった裁判の手続きも、この法律に基づいて行われます。これらの手続きは、犯罪の真相を明らかにし、正しい判決を下すために必要不可欠です。
さらに、行政事件訴訟法は、国や地方公共団体などの行政の行為に対して、不服がある場合の裁判手続きを定めた法律です。例えば、役所から不当な処分を受けたり、許可申請を却下されたりした場合、この法律に基づいて裁判を起こし、その処分の取り消しを求めることができます。行政の行為によって権利が侵害された場合に、私たちを守るための重要な法律です。
このように、手続法は、実体法で定められた権利を実際に使えるようにするための具体的な方法を定めています。民事訴訟法、刑事訴訟法、行政事件訴訟法以外にも、様々な手続法が存在し、私たちの権利を守り、社会の秩序を維持するために重要な役割を果たしています。これらの法律について知ることで、私たちは自分の権利をどのように行使すればよいのか、また、どのような手続きで権利が守られるのかを理解することができます。これは、法に基づいて社会が運営されている現代社会で生きていく上で、非常に大切な知識と言えるでしょう。
| 手続法の種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 民事訴訟法 | 私人間での争い事を解決するための裁判手続きを定めた法律 | お金の貸し借り、交通事故による損害賠償など |
| 刑事訴訟法 | 犯罪に関する捜査や裁判の手続きを定めた法律 | 逮捕、勾留、家宅捜索、証拠調べ、判決言い渡しなど |
| 行政事件訴訟法 | 国や地方公共団体などの行政の行為に対して、不服がある場合の裁判手続きを定めた法律 | 不当な処分、許可申請の却下など |
