逸失利益:将来得られたはずの利益

逸失利益:将来得られたはずの利益

調査や法律を知りたい

先生、『逸失利益』と『積極的損害』の違いがよくわからないのですが、教えていただけますか?

調査・法律研究家

いいですよ。簡単に言うと、『逸失利益』は本来もらえるはずだったお金がもらえなくなった損害で、『積極的損害』は実際に出費してしまったお金のことです。例えば、交通事故でケガをして入院した場合、『逸失利益』は入院によって働けなくなって失った給料、『積極的損害』は入院費用にあたります。

調査や法律を知りたい

なるほど。交通事故以外でも例えられますか?

調査・法律研究家

もちろんです。例えば、あなたが作った商品を誰かが勝手に売り出して、本来あなたが得られるはずだった利益を奪ってしまった場合、その失った利益が『逸失利益』です。逆に、その誰かに商品を壊されて弁償させられた場合は、『積極的損害』になります。

逸失利益とは。

本来なら得られたはずの利益が、約束を破られたり、悪いことをされたりすることで得られなくなった場合、それを「逸失利益」または「消極的損害」と言います。例えば、交通事故で亡くなった場合、もし生きていたら仕事をして得られたであろうはずのお金などがこれに当たります。反対に、入院費など、実際に支払わなければならなくなったお金で財産が減ってしまう損害は「積極的損害」と言います。

逸失利益とは

逸失利益とは

「逸失利益」とは、思いがけない出来事によって、将来得られるはずだった収益を失ってしまったことを指します。事故や約束の破棄など、様々な要因で発生する可能性があります。人生において、私たちは仕事や商いを通して収入を得ることを望んでいます。しかし、不慮の事故や他人の不当な行いによって、その見込みが絶たれてしまうことがあります。

例えば、交通事故で大きな怪我を負い、以前と同じように仕事ができなくなったとしましょう。この場合、将来得られるはずだった給料が逸失利益に当たります。また、契約が守られなかったことで事業が失敗した場合、その事業で得られるはずだった利益も逸失利益となります。他にも、不当な解雇によって職を失った場合、再就職までの期間に得られるはずだった給料も逸失利益として請求できる可能性があります。

逸失利益は、将来の損失を金額で表し、損害を被った人を助けるための大切な考え方です。これによって、不当な損害を受けた人が、本来受け取るはずだった利益の埋め合わせを受けることができます。また、損害を与えた側には、不当な行いへの責任を負わせることで、損害賠償を促す効果も期待できます。

逸失利益の計算方法は複雑で、様々な要素が考慮されます。一般的には、過去の収入や年齢、職業、生活状況などを基に、将来得られるであろう収入を推定します。また、事故や契約違反がなければ、どれだけの期間、収入を得られたのかも重要な要素となります。

逸失利益は、被害を受けた人の生活の立て直しや経済的な安定を図る上で、なくてはならないものです。損害を受けた場合は、専門家に相談し、適切な賠償を受けるようにしましょう。

項目 説明
逸失利益とは 思いがけない出来事によって、将来得られるはずだった収益を失ってしまったこと。事故や約束の破棄など、様々な要因で発生。 なし
逸失利益の例 交通事故で怪我を負い、以前と同じように仕事ができなくなった場合の将来の給料。契約不履行で事業が失敗した場合の利益。不当解雇による再就職までの期間の給料。 交通事故による負傷、契約不履行、不当解雇
逸失利益の目的 将来の損失を金額で表し、損害を被った人を助ける。不当な損害を受けた人が、本来受け取るはずだった利益の埋め合わせを受けることを可能にする。 損害賠償
逸失利益の計算方法 過去の収入、年齢、職業、生活状況などを基に、将来得られるであろう収入を推定。事故や契約違反がなければ、どれだけの期間、収入を得られたのかも考慮。 過去の収入、年齢、職業、生活状況、収入を得られた期間
逸失利益の重要性 被害を受けた人の生活の立て直しや経済的な安定を図る上で不可欠。 生活の立て直し、経済的な安定

逸失利益の算定方法

逸失利益の算定方法

将来得られたはずの利益、すなわち逸失利益を計算することは、とても複雑な作業です。なぜなら、まだ実現していない将来の出来事を、出来るだけ正確に見積もらなければならないからです。この計算には、様々な要素が絡み合っています。

まず、過去の収入は重要な手がかりとなります。会社で働いている人であれば、給与明細やこれまでの昇給の割合などを参考に、将来どれくらいの収入が見込めたのかを推測します。一方、自分で事業をしている人の場合は、過去の事業の成績や業界全体の動きなどを総合的に見て、将来の利益を予測します。

年齢も重要な要素です。若い人であれば、働く期間が長く、それだけ多くの収入を得られた可能性が高いと考えられます。また、健康状態も考慮されます。健康であれば長く働くことができますが、持病などがある場合は、働く期間が短くなる可能性も考慮しなければなりません。そして、その人がどのような仕事をしているのかも影響します。専門的な技能を持つ人や、高い地位にある人は、そうでない人に比べて、高い収入を得られる可能性が高いからです。

さらに、事故や契約違反がなかった場合、どれだけの期間にわたって収入を得られたかを推測することも重要です。会社員であれば、定年退職までの期間を考えます。事業をしている人であれば、事業がどれくらいの期間続けられたかを推測します。

このように、逸失利益の計算は、過去の事実や将来の予測など、様々な要素を考慮した上で、総合的に判断して行われます。状況によって計算方法は異なり、専門家の助言が必要になる場合もあります。被害を受けた人は、逸失利益を正しく計算することで、適正な賠償を受けることができます。加害者側も、計算方法を理解しておくことで、過剰な賠償請求を防ぐことができます。

逸失利益の算定方法

積極的損害と消極的損害

積極的損害と消極的損害

損害賠償請求を考える際、損害には大きく分けて二つの種類があることを知っておく必要があります。それが「積極的損害」と「消極的損害」です。

まず、積極的損害とは、実際に発生した損害のことを指します。何か事件や約束事が守られなかったことで、実際に金銭的な負担が生じた場合がこれに当たります。例えば、交通事故でけがをした場合の治療費や入院費、壊れた車の修理費などが代表的な例です。その他にも、火事で家が焼けてしまった場合の再建築費用や、壊れた家財道具の買い替え費用なども積極的損害に含まれます。これらの損害は、領収書や見積書などの証拠に基づいて金額を計算することが比較的容易です。

一方、消極的損害とは、将来得られたはずの利益を失った損害のことです。いわゆる「機会損失」とも呼ばれます。交通事故で亡くなった場合に、将来得られたであろう収入が得られなくなった場合の逸失利益や、約束が守られなかったことで商売がうまくいかなくなり、得られたはずの利益が得られなくなった場合などがこれに該当します。また、楽しみにしていた旅行に行けなくなった場合の慰謝料なども、消極的損害として請求できる場合があります。消極的損害は、将来の状況を予想する必要があるため、金額を計算するのが難しく、裁判などでは専門家の意見を聞くことも多くあります。

積極的損害と消極的損害の大きな違いは、損害が生じたかどうかです。積極的損害は既に損害が生じており、その損害を埋め合わせるものですが、消極的損害は、損害は発生していませんが、将来得られたはずの利益が得られなくなったことを埋め合わせるものです。

損害賠償を請求する際には、これらの損害の種類を正しく理解し、それぞれについて金額をきちんと計算することが大切です。そうすることで、自分に合った正当な賠償を受けることができるでしょう。

損害の種類 説明 具体例 金額の算定
積極的損害 実際に発生した損害 治療費、入院費、車の修理費、家の再建築費用、家財道具の買い替え費用 領収書や見積書などにより比較的容易
消極的損害 将来得られたはずの利益を失った損害(機会損失) 逸失利益、売上の減少、旅行に行けなかった場合の慰謝料 将来の状況を予想する必要があり困難。専門家の意見を聞くことも多い

裁判での逸失利益

裁判での逸失利益

裁判で争われるもうけ損、すなわち逸失利益についてお話します。裁判所は、様々な証拠を綿密に調べて、もうけ損があったのか、またその金額はいくらかを判断します。

給与明細や税金の申告書、事業の計画書、お医者さんの診断書など、様々な書類が証拠として提出されます。場合によっては、専門家が調査をして、その結果を裁判所に提出することもあります。裁判所は、提出されたすべての証拠を総合的に見て、公平な判断を下そうとします。

もうけ損を受けたと主張する側には、実際に損害があったこと、そしてその金額を証拠で証明する責任があります。つまり、損害を受けた人は、もうけ損が生じたことを示す証拠を集め、裁判所に納得してもらわなければなりません。裁判所は、提出された証拠だけを見て判断するので、損害を受けた人は、できるだけ多くの証拠を集めて、もうけ損の発生を裏付ける必要があります。

また、弁護士や会計士といった専門家の助けを借りるのも良いでしょう。これらの専門家は、もうけ損の計算方法や、それを証明する方法について熟知しているため、損害を受けた人を支えることができます。的確なアドバイスをもらったり、証拠の作成を手伝ってもらったりすることで、裁判を有利に進められる可能性が高まります。

裁判でもうけ損を認めさせるには、入念な準備と専門家の協力が欠かせません。証拠集めから専門家との相談まで、しっかりと準備しておきましょう。

裁判での逸失利益

まとめ

まとめ

不慮の事故や誰かの不正な行為によって、将来得られるはずだった利益を失った場合、その損失を埋めるための大切な制度として逸失利益というものがあります。例えば、交通事故や医療ミス、約束を破られた時など、様々な場面でこの逸失利益が問題となります。逸失利益は、被害を受けた人の生活を立て直したり、経済的な安定を支える上で大きな役割を果たすのです。

この逸失利益の計算は複雑で、収入の減少分だけでなく、生活水準の変化や将来の昇進なども考慮しなければなりません。そのため、専門家の助言が必要となる場合が多く、弁護士や損害保険の専門家などに相談することで、より正確な計算を行い、適切な賠償を受けることができるでしょう。

逸失利益の算定では、事故などが無かった場合に、将来どれだけの収入を得られたかを推定します。この推定には、過去の収入や年齢、職業、勤続年数、業界の平均賃金など、様々な要素が関わってきます。また、事故による後遺症で労働能力が低下した場合、その影響も考慮する必要があります。そのため、普段から自分の収入や生活水準を記録しておくことが大切です。給与明細や源泉徴収票などを保管しておけば、万が一の際に証拠として役立ちます。

もしも不当な損害を被り、将来の収入に影響が出た場合は、すぐに逸失利益について調べてみましょう。自分自身で情報を集めるだけでなく、弁護士や専門家に相談することで、適切な賠償金を受け取れる可能性が高まります。また、日頃から自分の収入や生活水準を把握しておくことも、いざという時に役立ちます。万が一の事態に備え、必要な情報を整理しておきましょう。逸失利益は、被害者の生活を守るための重要な制度です。この制度を正しく理解し、活用することで、不当な損害から身を守り、安心して暮らせる社会を目指しましょう。

逸失利益とは 不慮の事故や不正な行為によって失われた将来得られるはずだった利益を埋めるための制度
適用場面 交通事故、医療ミス、約束違反など
役割 被害者の生活再建や経済的安定を支える
計算方法 収入減少分、生活水準の変化、将来の昇進などを考慮した複雑な計算
算定に必要な要素 過去の収入、年齢、職業、勤続年数、業界の平均賃金、後遺症による労働能力低下など
専門家の助言 弁護士や損害保険の専門家に相談することで適切な賠償を受けられる可能性が高まる
必要な準備 給与明細や源泉徴収票など、収入や生活水準を証明する書類を保管しておく