緊急逮捕:逃亡阻止の最終手段

緊急逮捕:逃亡阻止の最終手段

調査や法律を知りたい

先生、『緊急逮捕』って、どういう場合にするんですか?

調査・法律研究家

簡単に言うと、重い罪を犯したと強く疑われ、すぐに捕まえないと証拠隠滅や逃亡のお恐れがあるのに、裁判官の許可を待っている時間がない場合だね。例えば、殺人事件の犯人が逃走中で、今捕まえなければ証拠を隠したり、国外逃亡するかもしれない、というような場合だ。

調査や法律を知りたい

なるほど。でも、普段は裁判官の許可が必要ですよね?緊急逮捕は、その例外ってことですか?

調査・法律研究家

その通り。普段は逮捕状が必要だけど、緊急逮捕はその例外なんだ。ただし、重い罪に限ってだし、逮捕後すぐに裁判官の許可を得なければ釈放しなければならないなど、厳しいルールがあるんだよ。

緊急逮捕とは。

『緊急逮捕』について説明します。緊急逮捕とは、罪を犯したと強く疑われる人が、死刑や無期懲役、もしくは3年以上のお務めに相当するような重い罪を犯したと考えられる場合に、すぐに捕まえなければいけないのに、裁判官の逮捕許可を待っていられないような、急を要する時に、理由を伝えて捕まえることを言います。

通常、罪を犯している現場を見つけた時以外は、人を捕まえるには裁判官の逮捕許可が必要です。これを令状主義と言います。しかし、令状主義の例外として、逮捕許可を待っていられないほど差し迫った状況で、逮捕を確実に実行するために、厳しい条件を満たせば緊急逮捕が認められています(刑事訴訟法210条)。緊急逮捕をした後は、すぐに裁判官に逮捕許可を求めなければいけません。もし逮捕許可が出なければ、捕まえた人を釈放しなければなりません。また、緊急逮捕の条件を満たしていないのに、人を捕まえた場合は、不当な逮捕となり、その後、裁判所へ勾留の申し立てをしても却下されるなどの影響が生じます。

緊急逮捕とは

緊急逮捕とは

緊急逮捕とは、罪を犯した疑いが強く、放っておくと逃げたり証拠を隠したりする恐れがある場合に、裁判官の許可を得る前でも逮捕できる制度です。通常、逮捕するには裁判官が出す逮捕状が必要ですが、緊急逮捕はこの例外にあたります。ただし、逃げる心配がない場合や、逮捕する必要がない場合は、緊急逮捕はできません。

緊急逮捕できるのは、重い罪を犯した疑いがある場合です。具体的には、死刑や無期懲役、あるいは懲役や禁固3年以上の罪にあたる犯罪を犯したと疑うに足りる十分な理由がある場合です。「疑いがある」とは、単に怪しいというだけでなく、客観的に見て罪を犯したと判断できるだけの証拠や状況が必要です。例えば、犯行現場から逃げるところを見られた、犯行に使った道具を持っていた、自分で罪を認めた、といった具体的な証拠や状況がなければなりません。

また、緊急逮捕は、時間との勝負で証拠隠滅の恐れがある場合などに限られます。例えば、殺人事件で犯人が凶器を隠し持っていて、逃亡すれば凶器を処分してしまう可能性が高い場合などが考えられます。あるいは、共犯者がいて、逃亡すれば口裏を合わせたり、関係者に圧力をかけたりして証拠隠滅を図る恐れがある場合も緊急逮捕が認められる可能性があります。

緊急逮捕された場合でも、必ずしも罪を犯したと決まったわけではありません。逮捕後、警察はさらに詳しく捜査を行い、証拠を集めます。そして、証拠が十分に集まり、罪を犯したと認められる場合には、検察官が裁判所に起訴します。裁判で有罪が確定して初めて、刑罰を受けることになります。緊急逮捕はあくまでも、事件を迅速に解決し、真相を明らかにするための手段の一つなのです。そのため、緊急逮捕されたとしても、落ち着いて警察の捜査に協力し、自分の正当な権利を守ることが大切です。

緊急逮捕の条件 説明
罪の重さ 死刑・無期懲役または懲役・禁錮3年以上の罪
嫌疑の強さ 客観的に犯죄を犯したと判断できる証拠・状況がある
緊急性 逃亡や証拠隠滅の恐れがある

逮捕状との違い

逮捕状との違い

人を捕まえるには、通常、裁判所の許可が必要です。裁判官に事情を説明し、捕まえるための許可である逮捕状を出してもらいます。この逮捕状に基づいて捕まえることを通常逮捕と言います。しかし、いつも時間があるとは限りません。犯人が逃げたり、証拠を隠したりするかもしれないと判断される場合、すぐに捕まえる必要があります。このような差し迫った状況に対応できるのが緊急逮捕です。緊急逮捕では、裁判所の許可を待たずに、まず犯人を捕まえることができます。例えば、殺人事件の犯人が凶器を持って逃走している場合や、放火犯がまだ火のついたままの現場から逃げようとしている場合などが考えられます。一刻を争う状況では、証拠隠滅や逃亡を防ぐために、迅速な対応が求められます。ただし、緊急逮捕はあくまでも例外的な措置です。裁判所の許可なく人を捕まえることは、個人の自由を大きく制限するため、慎重に行われなければなりません。そのため、緊急逮捕をした後は、すぐに裁判所に逮捕状を請求しなければなりません。そして、裁判官が逮捕を妥当だと判断し、逮捕状を出せば、そのまま勾留などの手続きに進みます。しかし、もし裁判官が逮捕状を出さなければ、捕まえた人はすぐに釈放されます。これは、緊急逮捕という強力な権限を警察などが乱用することを防ぎ、個人の権利と自由を守るための大切な仕組みです。つまり、緊急逮捕は、後に裁判所の許可を得ることを前提とした、時間がない時の例外的な逮捕方法と言えるでしょう。

逮捕状との違い

緊急逮捕の要件

緊急逮捕の要件

人の自由を制限する緊急逮捕は、法律によって厳しく定められた条件の下でのみ認められています。これは、逮捕状なしで身柄を拘束するという強力な権限行使だからこそ、誤用や濫用を防ぐためです。

まず、逮捕に値するだけの十分な理由が必要です。これは、単なるうわさや漠然とした疑いではなく、客観的な証拠に基づいた、死刑、無期懲役もしくは3年以上もの懲役・禁錮に相当する犯罪を犯したという合理的な疑いがなくてはなりません。例えば、犯行現場付近で目撃された、盗まれた品物を所持していた、といった状況証拠だけでは不十分で、犯行との明確な関連性が必要です。

さらに、緊急性という要件も不可欠です。これは、逮捕状を取得する時間を待っていたら、被疑者が逃げてしまう、あるいは証拠を隠滅してしまうなど、逮捕が事実上不可能になってしまうと客観的に判断される状況を指します。例えば、逃亡の恐れが明白な場合や、証拠隠滅を図ろうとした現場を押さえた場合などが該当します。

これらの要件を満たさない緊急逮捕は、違法な逮捕とみなされます。違法な逮捕は、被疑者の基本的人権を侵害するだけでなく、その後の捜査手続きや裁判にも重大な影響を及ぼし、せっかく集めた証拠が無効になる可能性も出てきます。そのため、捜査機関は緊急逮捕の要件を慎重に検討し、適正な手続きを踏まなければなりません。そうでなければ、正義の実現どころか、更なる問題を引き起こすことになりかねません。

緊急逮捕の要件

緊急逮捕後の手続き

緊急逮捕後の手続き

人の自由を制限する緊急逮捕は、状況が切迫している場合にのみ認められる例外的な措置です。警察官は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合、裁判官の令状なしに被疑者を逮捕することができます。ただし、これには厳しい時間的制約と手続きが伴います。

緊急逮捕した警察官は、速やかに被疑者を検察官へ送致する義務があります。この「速やか」とは、できる限り時間を無駄にせず、迅速にという意味です。検察官への送致は、逮捕後出来る限り24時間以内に行われなければなりません。送致を受けた検察官は、さらに24時間以内に勾留が必要かどうかを判断し、勾留を請求するかどうか決定します。勾留とは、被疑者を一定期間、身体拘束下に置くことです。

検察官が勾留を請求する場合、裁判官に対して勾留状を請求します。裁判官は、勾留の必要性を慎重に審査し、勾留するだけの理由があると判断した場合にのみ勾留状を発布します。この審査は、被疑者の権利と自由を守るための重要な手続きです。勾留状が発布されれば、被疑者は引き続き勾留され、捜査が続けられます。もし裁判官が勾留の必要性を認めなければ、被疑者は釈放されます。

緊急逮捕という強い措置が取られた後でも、必ず裁判官によるチェックが入ることで、被疑者の権利と自由が不当に侵害されないようになっています。適正な手続きを踏むことで、事後的な検証が可能になり、捜査の公正さが保たれるのです。

違法な緊急逮捕

違法な緊急逮捕

人の自由を奪う緊急逮捕は、法律で厳しく定められた条件のもとでのみ認められる行為です。この条件を満たさない緊急逮捕は、違法な逮捕となり、重大な人権侵害にあたります。

緊急逮捕が認められるのは、まず罪を犯したと強く疑えるだけの十分な理由があること、そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあって、通常の逮捕状請求の手続きを踏む時間がないほど急を要する場合に限られます。例えば、犯行直後に現場近くで目撃された人物を、逃亡のおそれがあるとして逮捕することは、緊急逮捕の要件を満たす可能性があります。しかし、ただ単に容疑者の供述や目撃情報の一部だけで、客観的な証拠がないまま逮捕したり、時間に余裕があるにも関わらず手続きを省略して逮捕するような場合は、違法な緊急逮捕にあたります。

違法な緊急逮捕によって得られた自白や押収物などの証拠は、裁判で証拠として採用されない、つまり「証拠から排除される」可能性が非常に高くなります。これは、違法な捜査によって得られた証拠の信用性を疑うだけでなく、違法な捜査を抑止する効果も期待されているからです。また、違法な緊急逮捕によって精神的な苦痛を受けたとして、被疑者本人から国に対して損害賠償を求める訴訟を起こされることもあります。

警察官は、国民の権利と自由を守るという重要な役割を担っています。そのため、緊急逮捕という強力な権限を行使する際には、より慎重な判断と適正な手続きが求められます。関係法令を深く理解し、逮捕の必要性や緊急性について厳密に吟味した上で、適法な範囲内で職務執行にあたらなければなりません。違法な緊急逮捕は、個人の尊厳を傷つけるだけでなく、捜査機関への信頼も損なう重大な行為であることを、常に心に留めておく必要があります。

違法な緊急逮捕