本人訴訟で挑む!

調査や法律を知りたい
先生、『本人訴訟』というのは、どういうことですか?

調査・法律研究家
簡単に言うと、弁護士に頼まずに、自分で裁判をすることだよ。

調査や法律を知りたい
自分で裁判をするって、難しそうですね。誰でもできるんですか?

調査・法律研究家
そうだね、確かに難しいこともあるけど、民事裁判では誰でも自分で裁判を起こす権利があるんだ。これを『本人訴訟』と呼ぶんだよ。
本人訴訟とは。
弁護士に頼らず、自分で裁判をすることを「本人訴訟」といいます。民事裁判では、このように自分で裁判をすることが認められています。
本人訴訟とは

本人訴訟とは、弁護士などの代理人を通さず、自分自身で裁判手続きを行うことです。民事裁判では、誰でも弁護士に頼らず、自ら訴訟を起こし、進める権利が認められています。これは、憲法で定められている裁判を受ける権利を具体化したもので、お金や手続きの難しさなどを理由に弁護士に頼めない場合でも、自らの権利を実現する方法を確保しています。
手続きは複雑で、法律の知識も必要となるなど、難しい面も確かにあります。しかし、弁護士費用がかからないこと、自分の言葉で裁判官に直接主張を伝えられることなど、良い点もあります。そのため、近年、手続きが比較的簡単な少額訴訟を中心に、本人訴訟を選ぶ人が増えています。特に、インターネットが広まったことで、裁判手続きの情報や書式の見本などが簡単に見つかるようになったことも、本人訴訟の増加につながっていると考えられます。
とはいえ、裁判には高度な法律知識と綿密な計画が必要な場合もあります。ですから、本人訴訟を選ぶ際は、メリットとデメリットをよく考えた上で、慎重に決めることが大切です。自分自身で裁判手続きを行うということは、すべての責任を自分が負うということです。弁護士に頼む場合と比べて、時間も手間もかかり、専門知識の不足によって不利な結果になる可能性も否定できません。
本人訴訟は決して簡単な道のりではありません。時間と労力を費やし、法律の勉強もしなければなりません。裁判の手続きも複雑で、慣れない人にとっては負担が大きいでしょう。また、法律の専門家である弁護士と違い、法律知識の不足から不利な立場に立たされる可能性も考えられます。相手方が弁護士を立てている場合、その差はさらに大きくなるかもしれません。しかし、それでもなお、自らの権利を守るため、自ら法廷に立ち、自分の言葉で主張を伝えるという選択は、現代社会において大きな意義を持っていると言えるでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本人訴訟とは | 弁護士などの代理人を通さず、自分自身で裁判手続きを行うこと |
| メリット |
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| デメリット |
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| その他 |
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本人訴訟のメリット

本人訴訟を行う一番の利点は、弁護士に支払う費用を抑えられることです。弁護士に依頼すると、最初に支払う着手金、事件解決後に支払う報酬金、その他諸経費など、高額な費用がかかります。特に、裁判が長引く場合は、費用負担が大きくなる傾向があります。本人訴訟であれば、これらの費用を抑え、金銭的な負担を軽くすることができます。自分で裁判の手続きを行うため、事件の内容を深く理解し、自分の意思で積極的に関わることができます。弁護士に依頼すると、どうしても他人任せになりがちですが、本人訴訟では、自分の言葉で主張を伝え、証拠を提出することで、裁判官に直接訴えることができます。これは、自分の権利を実現するために、大きな力となるでしょう。
また、本人訴訟は、法律の知識を深める良い機会となります。裁判の手続きを進める中で、関係する法律や過去の判決を調べたり、裁判所の進め方を理解したりすることで、法律に関する知識や理解が深まります。これは、将来、同じような問題に直面した際に、適切な行動をとるための力となるはずです。
しかし、本人訴訟は、法的知識や訴訟手続きの経験がない人にとっては、複雑で難しい場合があります。裁判の手続きは厳格で、書類の提出期限を守らなかったり、必要な書類を提出できなかったりすると、不利な結果となる可能性があります。また、法律の専門家である弁護士と異なり、法律の解釈や証拠の評価など、専門的な知識が必要な場面で苦労する可能性があります。
さらに、感情的になりやすいというデメリットもあります。自分自身の問題であるため、客観的な判断が難しくなり、感情的に行動してしまう可能性があります。冷静さを欠いた行動は、裁判に不利な印象を与え、結果的に不利な判決につながる可能性があります。
本人訴訟には、費用面だけでなく、権利の実現や自己成長という点でもメリットはありますが、法的知識や手続きの複雑さ、感情的な対応といった難しさも理解した上で、慎重に検討する必要があります。必要に応じて、弁護士に相談するなど、専門家の支援を受けることも検討しましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
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本人訴訟のデメリット

自分自身で訴訟を起こすことには、確かに費用を抑えられるなどの利点がありますが、同時に様々な困難も伴います。法律の専門家ではない一般の人にとって、裁判の手続きや法律の解釈は複雑で分かりにくいものです。法律は専門用語や独特の言い回しが多く、わずかな解釈の違いが訴訟の結果を大きく左右することもあります。そのため、専門家の助けなしに、最適な手続きや主張を行うのは非常に難しいと言えます。書類の不備や間違った主張は、裁判で不利な立場に立たされる可能性を高めてしまいます。
また、訴訟には多くの時間と手間がかかります。訴状や証拠書類の作成、裁判所への提出、裁判への出席など、様々な手続きが必要です。これらの手続きにはそれぞれ期限が定められており、期日を守れなかった場合は訴訟に悪影響が出る可能性があります。仕事や日常生活を送りながら、これらの手続きを全て自分自身で行うのは大変な負担となるでしょう。
さらに、自分自身の問題を扱うため、感情的になりやすいことも大きな問題です。感情に左右されて冷静な判断ができなくなると、不適切な発言をしてしまったり、客観的な証拠を見落としてしまったりする可能性があります。裁判では、感情的な訴えよりも、冷静で論理的な主張が重要です。感情的な行動は、裁判官に悪い印象を与え、訴訟の結果に悪影響を与える可能性があります。
このように、自分自身で訴訟を起こすことには多くのリスクが伴います。費用を抑えられるというメリットだけに注目するのではなく、これらのデメリットをよく理解した上で、本当に自分自身で訴訟を行うべきなのか、弁護士などの専門家に相談すべきなのかを慎重に検討することが大切です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 費用を抑えられる |
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本人訴訟の注意点

自分自身で裁判を行う本人訴訟は、費用を抑えられる一方で、法律の専門家ではないため、多くの困難を伴います。訴訟を始める前に、いくつかの注意点についてしっかりと理解しておくことが重要です。まず、訴訟の準備段階では、徹底的な情報収集が不可欠です。裁判所のホームページや法律関係の本、無料または有料の法律相談などを活用し、訴訟の手続きや必要な書類、関係する法律などを調べましょう。インターネットの情報だけでなく、図書館で専門書を借りたり、弁護士や司法書士に相談したりすることで、より正確で詳細な情報を得ることができます。訴訟の種類によっては、簡易裁判所や家庭裁判所の手続きが異なる場合もありますので、自分の訴訟に合った情報を集めることが大切です。次に、裁判の日時や提出期限といった期日は必ず守りましょう。裁判には様々な期日が設定されており、これらの期日を過ぎてしまうと、訴えを取り下げられたり、不利な判決を受けたりする可能性があります。手帳やカレンダーなどに期日を記録し、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。そして、主張を裏付ける証拠を準備することも重要です。どんなに正しい主張でも、証拠がなければ裁判で認めてもらうことは難しいです。契約書や領収書、写真、メール、目撃者の証言など、自分の主張を証明する証拠を収集し、整理しておきましょう。証拠は、コピーではなく原本を提出するのが原則です。また、証拠は関連性の高いものだけを提出し、不要なものは避けるべきです。関係のない証拠を多数提出すると、裁判官の心証を悪くする可能性があります。最後に、訴訟中は冷静さを保つことが大切です。訴訟は長期間に及ぶこともあり、精神的な負担も大きいため、感情的になりやすい状況です。しかし、感情的な言動は、裁判官の心証を悪くするだけでなく、自分自身も冷静な判断ができなくなってしまいます。常に冷静さを保ち、客観的に状況を判断するように心がけましょう。もし難しいと感じたら、家族や友人など信頼できる人に相談したり、カウンセリングなどを利用するのも良いでしょう。これらの注意点を踏まえ、綿密な準備と冷静な対応を心がけることで、本人訴訟でも良い結果を得られる可能性を高めることができます。
| 本人訴訟の注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 情報収集 | 裁判所のホームページ、法律関係の本、無料・有料法律相談などを活用し、訴訟の手続き、必要書類、関連法令を調べる。図書館の専門書、弁護士・司法書士への相談も有効。簡易裁判所・家庭裁判所の手続きの違いにも注意。 |
| 期日厳守 | 裁判日時・提出期限などの期日を厳守。期日経過で訴え取下げや不利な判決の可能性あり。手帳・カレンダーへの記録と余裕を持った準備が必要。 |
| 証拠準備 | 主張の裏付けとなる証拠(契約書、領収書、写真、メール、目撃証言など)を準備。原本提出が原則。関連性の高い証拠のみ提出し、不要なものは避ける。 |
| 冷静な対応 | 訴訟中は冷静さを保つ。感情的言動は裁判官の心証悪化、自身も冷静な判断を失う原因に。客観的な状況判断を心がけ、必要に応じて家族・友人・カウンセリングに相談。 |
まとめ

人が自ら訴訟を起こすことを本人訴訟と言います。弁護士に依頼せず、自分自身で裁判手続きを行うこの方法は、費用を抑え、事件により深く関わることができるという利点があります。しかし、それと同時に困難も伴います。
まず、裁判の手続きは複雑です。法律の専門家ではない一般の人にとっては、書類の作成や提出、裁判でのやり取りなど、一つ一つが難しい課題となります。また、法律の知識も必要です。法律の専門家ではないため、適切な判断が難しい場面が出てくるでしょう。有利な証拠をどのように集め、提示すれば良いのか、どのような主張をすれば認められるのか、判断に迷うことも少なくありません。
本人訴訟で成功を収めるためには、事前の準備が不可欠です。まずは、関係する法律や判例を調べ、十分な知識を身につける必要があります。インターネットや図書館などを活用し、情報を集めましょう。そして、裁判の期日や提出期限は厳守しなければなりません。期日を守れないと、不利な結果を招く可能性があります。さらに、自分の主張を裏付ける証拠をしっかりと集めておくことも重要です。証拠が不十分だと、主張が認められないことがあります。
裁判中は、冷静さを保ち、感情的にならないように注意が必要です。客観的な視点で物事を判断し、冷静な対応を心がけましょう。難しいことですが、感情的になってしまうと、適切な判断ができなくなる可能性があります。
訴訟は、長期間にわたる大きな負担を伴う手続きです。もし、自分だけで進めることに不安を感じたり、疑問が生じたりした場合は、迷わず専門家に相談することをお勧めします。法律相談などを利用すれば、弁護士から適切なアドバイスを受けることができます。どのような方法が自分に合っているのか、専門家の意見を参考にしながら、慎重に検討しましょう。最終的には、自分自身で決断し、その結果に責任を持つ必要があります。本人訴訟は容易な道ではありませんが、自らの手で権利を守るための大切な手段となります。

