無償で借りるということ:使用貸借の基本

調査や法律を知りたい
『使用貸借』って、無料で物を借りて使えるってことですよね?

調査・法律研究家
そうです。無料で借りて、使って、収益を得ることもできます。ただし、使った物はそのまま返す必要があります。

調査や法律を知りたい
返す必要があるんですね。じゃあ、借りたものでお金を稼いでも大丈夫なんですか?

調査・法律研究家
はい、大丈夫です。例えば、借りた田んぼでお米を作って売ってもいいんです。ただし、お米を売って得たお金を返す必要はありません。返すのは借りた田んぼそのものだけです。
使用貸借とは。
『使用貸借』とは、借りる人が、お金を払わずに物を使ったり、そこから利益を得たりした後で、その物を貸した人に返す約束をして、貸した人から物を受け取ることで成立する契約のことです。お金を払わずに使えるという点で、お金を払って借りる契約とは違います。また、借りた物その itselfを返すという点で、借りた物を別の同じ種類の物で返す契約とも違います。
使用貸借とは

使用貸借とは、物を無償で借り、使った後に元の状態で返す契約です。貸し借りするものは、自転車や自動車、書籍、衣服など様々ですが、いずれも借りた人が料金を支払う必要はありません。無償であることが使用貸借の大きな特徴です。もしお金を払って借りる場合は、賃貸借という別の契約になります。
例えば、友人に自転車を借りて近所の図書館に行く、あるいはアルバイト先へ行くといった場合、使用貸借が成立します。この時、自転車を貸した友人は貸主、借りた人は借主となります。借主は自転車を自由に使うことができますが、善良な管理者の注意義務をもって取り扱う必要があります。つまり、丁寧に扱い、盗難や破損に注意しなければなりません。万が一、故意または重大な過失によって自転車を壊してしまった場合、借主は貸主に対して損害賠償責任を負うことになります。
使用貸借のもう一つの重要な点は、借りたものをそのままの形で返すことです。例えば、友人に米を借りて炊いて食べてしまった場合、同じ米を返すことはできません。このような場合は、消費貸借という別の契約になります。また、借りた自転車を勝手に他の人に貸すこともできません。これは無償で借りているという契約の性質上、借主のみが使用することを前提としているからです。このように、使用貸借は「無償で借りる」「同じ物を返す」という二つの点が重要な契約なのです。
使用貸借は、私たちの日常生活でよく見られる契約の一つです。友人や家族間でのちょっとした貸し借りは、ほとんどの場合、使用貸借に該当します。契約書を交わすことは少ないですが、無償での貸し借りという認識があれば、使用貸借の成立を意識することができます。日頃から使用貸借の原則を理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、良好な人間関係を築くことに繋がるでしょう。

使用貸借の例

ものを無償で借りて使う契約、つまり使用貸借は、私たちの暮らしの中で思いの外、色々な場面で見られます。身近な例をいくつか見ていきましょう。例えば、親戚から自家用車を借りて遠出の旅行に出かける、こんなこともあるでしょう。あるいは、友人から最新のテレビゲームのソフトを借りて遊ぶ、近所の人から芝刈り機を借りて庭の手入れをする、といった場合も使用貸借にあたります。これらの場合に共通するのは、お金のやり取りが発生しないということです。借りたものは、そのままの形で持ち主に返さなければなりません。
少し変わった例として、美術館に絵画を展示してもらうために貸し出す場合があります。このような場合、絵画の所有権は貸し出した人のままですが、美術館は一定期間、絵画を展示して多くの人に見てもらうことができます。これも使用貸借にあたる可能性があります。展示によって絵画の価値が上がる可能性も考えられますが、金銭のやり取りが発生しない場合は使用貸借とみなされます。
このように、使用貸借はさまざまな場面で利用されている契約の形態です。特に、個人間で物を貸し借りする際には、無償であるという性質上、お互いの信頼関係が非常に重要になります。口約束だけで済ませてしまうことも多いですが、トラブルを防ぐためには、いつまで借りるのか、どのように使うのか、壊してしまった場合はどうするのかといったことを事前にきちんと話し合っておくことが大切です。また、高価なものや壊れやすいものを借りる場合は、念のために書面に残しておくのも良いでしょう。使用貸借は、良好な人間関係を維持するためにも、責任感と相手への配慮が求められる契約と言えるでしょう。
| 使用貸借の例 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 親戚から自家用車を借りる、友人からゲームソフトを借りる、近所の人から芝刈り機を借りる | 金銭のやり取りが発生しない |
を事前に話し合い、高価な物や壊れやすい物の場合は書面に残す |
| 美術館に絵画を展示するために貸し出す |
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同上 |
| 共通事項 |
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賃貸借との違い

ものを借りるという行為は、私たちの日常で頻繁に行われています。しかし、借りるという行為には、実は法律上、異なる種類があることをご存知でしょうか。代表的なものが使用貸借と賃貸借です。この二つは、どちらも物を借りる契約ですが、お金のやり取りが発生するかどうかという大きな違いがあります。
賃貸借は、お金を払って物を借りる契約です。例えば、毎月お金を支払って住むアパートやマンション、駐車場などは賃貸借契約にあたります。また、事務所や店舗を借りる場合も、賃料が発生するため賃貸借契約となります。レンタルビデオやレンタル衣装なども、料金を支払うため、同様に賃貸借に該当します。このように、賃貸借は対価を支払うという点が重要なポイントです。
一方、使用貸借はお金を払わずに、無償で物を借りる契約です。例えば、友人から本やゲームソフト、自転車などを借りる場合、通常はお金を支払いません。このような場合は使用貸借契約となります。また、親から車を無償で借りる場合も使用貸借です。このように、使用貸借は好意に基づいて無償で行われることが一般的です。
同じように物を借りる行為でも、お金が発生するかしないかで、使用貸借と賃貸借という異なる契約の種類に分類されます。この違いを理解しておくことは、後々のトラブルを避けるうえで非常に重要です。例えば、無償で借りた物に損害を与えてしまった場合、使用貸借では故意または重大な過失がない限り、借りた人に賠償責任はありません。しかし、賃貸借の場合、借りた人は善良な管理者の注意義務を負い、通常の使用によって生じた損害についても賠償責任を負うことになります。このように、責任の範囲も契約の種類によって異なるため、それぞれの契約の特徴を正しく理解しておく必要があります。
| 項目 | 使用貸借 | 賃貸借 |
|---|---|---|
| お金のやり取り | 無償 | 有償 |
| 例 | 友人から本を借りる、親から車を借りる | アパート、駐車場、レンタルビデオ |
| 性質 | 好意に基づく | 対価を支払う |
| 損害発生時の責任 | 故意または重大な過失がない限り、賠償責任なし | 善良な管理者の注意義務あり、通常の使用でも賠償責任あり |
消費貸借との違い

「使ったものをそのまま返す」のと「使ったものと同等のものを返す」のとでは、大きな違いがあります。これが、使用貸借と消費貸借を分ける重要な点です。使用貸借とは、借りたもの自体をそのまま返す契約のことを指します。例えば、友だちから自転車を借りた場合、その自転車をそのまま返却する義務が生じます。借りた自転車でサイクリングを楽しんだ後、たとえ丁寧に扱っていても、多少の磨耗や小さな傷が生じるかもしれません。しかし、使用貸借では、これらの変化があっても、借りた自転車そのものを返却しなければなりません。一方、消費貸借は、借りたものと同種、同量、同質のものを返す契約です。例えば、近所の人から砂糖を借りた場合、同じ量の同じ種類の砂糖を返せば契約は果たされます。借りた砂糖を使ってケーキを焼いた後、同じ銘柄の砂糖をスーパーで購入して返却すればよいのです。借りた砂糖そのものを返す必要はありません。このように、使用貸借と消費貸借は、返還するものの性質によって区別されます。自転車や本のように、個々の形状や特徴を持つものは使用貸借の対象となり、お金や米、砂糖のように、消費して利用するものは消費貸借の対象となります。この違いを理解することは、私たちの日常生活における様々な貸し借りの場面で、トラブルを避けるために非常に大切です。例えば、友人から高価なカメラを借りる際は、使用貸借であることを明確に認識し、丁寧に扱い、借りたカメラそのものを返却する必要があります。また、お金を貸し借りする際は、消費貸借に該当するため、借りた金額と同額のお金を返済すればよいことを理解しておくべきです。
| 項目 | 使用貸借 | 消費貸借 |
|---|---|---|
| 定義 | 借りたもの自体をそのまま返す契約 | 借りたものと同種、同量、同質のものを返す契約 |
| 例 | 自転車、本 | 砂糖、お金、米 |
| 返還対象 | 個々の形状や特徴を持つもの | 消費して利用するもの |
| 注意点 | 多少の磨耗や傷があっても、借りたもの自体を返却 | 借りたものと同種同量同質のものを返せばよい |
使用貸借の注意点

物を無償で貸し借りする使用貸借は、親切心から生まれる行為だからこそ、契約内容が曖昧になりがちで、後に思わぬ揉め事に発展することもあります。貸し借りする際に、「誰が」「何を」「いつまで」借りるのかを明確にしておくことは非常に大切です。例えば、友人に車を貸す場合、「AさんがBさんに車を貸す」というだけでなく、「AさんがBさんにC型の車を〇月×日から△月□日まで貸す」のように具体的にしておくべきです。
また、借りた物の管理責任についても、事前に取り決めておく必要があります。例えば、貸した車が故障した場合、修理費用は誰が負担するのか、事故を起こした場合の責任の所在はどうなるのかなど、想定されるトラブルについてあらかじめ話し合っておくことが重要です。これらの取り決めは、口約束だけでなく、書面に残しておくことで、言った言わないのトラブルを回避できます。特に、高価な物や壊れやすい物を貸し借りする場合は、契約書を作成するなどして、より慎重な対応が必要です。
使用貸借では、借りた物を使用中に損害が生じた場合、故意や重大な不注意がない限り、借りた人は責任を負いません。例えば、友人に貸したパソコンを、うっかり落として壊してしまった場合、落とした人に責任はありません。ただし、通常の使用によって生じた劣化については、借りた人は責任を負いません。例えば、車を貸している間にタイヤがすり減った場合は、貸した人の責任となります。
これらの点を貸し借りする両者がしっかりと理解し、お互いに配慮することで、良好な関係を保ちながら、気持ちの良い貸し借りができるでしょう。無償での貸し借りは好意に基づく行為だからこそ、事前の約束事を明確にすることで、後々のトラブルを防ぎ、より良い人間関係を築くことに繋がります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 貸借の明確化 | 「誰が」「何を」「いつまで」借りるのかを具体的に決めておく(例:AさんがBさんにC型の車を〇月×日から△月□日まで貸す) |
| 管理責任の明確化 | 故障時の修理費用負担、事故時の責任所在など、想定されるトラブルについて事前に話し合い、書面に残しておく。 |
| 損害発生時の責任 |
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