送致と捜査の結びつき:検察への橋渡し

調査や法律を知りたい
『検察官送致』って、どういう意味ですか?

調査・法律研究家
簡単に言うと、警察が事件を調べた後、集めた証拠と一緒に検察官に事件を引き渡すことだよ。これを『送検』とも言います。

調査や法律を知りたい
なるほど。でも、どうして警察が検察官に事件を渡す必要があるんですか?

調査・法律研究家
警察は事件を調べるところだけど、裁判にかけたり、罰を与えるかどうかを決めるのは検察官の仕事なんだ。だから、警察は調べた結果を検察官に渡す必要があるんだよ。そして、原則として、警察は犯罪の捜査をした場合は、必ず送検しなければいけない決まりになっているんだ。
検察官送致とは。
『検察官送致』というのは、犯罪事件の証拠などをまとめて、裁判をするかどうかを決める検察官に送ることを指します。一般的には、警察が調べた事件を検察官に送ることを言い、送検と呼ばれることもあります。警察は、犯罪を調べた場合は、原則として必ず検察官に送らなければなりません。
送致とは何か

事件を解決するためには、様々な段階を踏まなければなりません。まず、警察が事件の知らせを受け、捜査を開始します。そして、集めた証拠や関係者の証言などを書類にまとめ、事件の全体像を明らかにする作業を行います。この一連の捜査活動が終わると、事件は次の段階へと進みます。それが「送致」です。
送致とは、警察がまとめた捜査資料一式を検察庁に送る手続きのことを指します。これは、いわば警察から検察へのバトンタッチのようなものです。警察が積み重ねてきた捜査の成果物を、次の走者である検察に引き渡す、重要な役割を担っています。普段、ニュースなどで「送検」という言葉が使われているのを耳にすることがあるかもしれませんが、これは送致と同じ意味です。
警察には、犯罪を捜査した場合、必ず送致を行わなければならないという義務があります。これは法律で定められたことであり、どんな小さな事件でも、原則として送致の手続きが必要になります。送致によって事件は警察の手から離れ、検察官の手に渡ります。検察官は、警察から送られてきた資料を詳しく調べ、事件の真相をさらに深く解明していきます。そして、裁判にかけるだけの証拠が揃っているかどうかを判断します。つまり、送致は捜査の終わりを告げると同時に、検察による新たな段階の始まりを意味する、事件解決における重要な手続きなのです。送致された事件が全て裁判になるわけではありません。検察官が証拠不十分と判断すれば、不起訴となり裁判は行われません。逆に、起訴と判断されれば裁判が始まり、事件の真相が法廷で問われることになります。

送致の具体的な流れ

送致とは、警察が事件の捜査を終えた後、集めた証拠や資料、容疑者に関する情報をまとめて検察庁に送る手続きのことを指します。これは、事件を裁判に持ち込むかどうかの判断を検察官に委ねるための重要なステップです。
まず、警察は事件発生の知らせを受けると、現場に急行し、証拠の収集や関係者からの聞き込みを行います。被害者の状況や犯行の手口など、事件の全体像を把握するために必要な情報を集めます。そして、集まった情報をもとに容疑者を特定します。
容疑者が特定されると、警察はさらに詳しい捜査を進めます。容疑者のアリバイの確認や、関係者へのさらなる聞き込み、そして証拠品の分析などを行います。これらの捜査活動を通して得られた情報は、すべて文書に記録されます。事件の概要、捜査の過程、証拠品の内容、関係者の証言など、詳細な記録を作成します。これらの記録は、後に行われる検察官による判断の材料となる重要なものです。
捜査が完了すると、警察は集めた証拠品や作成した記録をまとめて「捜査書類」として検察庁に送ります。この一連の流れを送致と言います。送致された捜査書類は、検察官によって綿密に調べられます。検察官は、証拠の確実さや法律への適合性などを検討し、事件を裁判にかけるだけの十分な証拠が揃っているかを判断します。十分な証拠があると判断された場合、検察官は容疑者を起訴し、裁判手続きが始まります。逆に、証拠が不十分だと判断された場合は、不起訴となり、事件は裁判にかけられません。このように、送致は警察の捜査活動を終結させ、事件を検察の判断に委ねる、刑事手続きにおける重要な役割を担っています。

送致の種類

警察が事件を捜査した後に、容疑者を裁判にかけるかどうかを決めるのは検察官です。その判断材料として、警察は捜査の結果をまとめた書類や証拠品などを検察に送りますが、これを「送致」といいます。送致には大きく分けて二つの種類があります。「書類送検」と「身柄送検」です。
書類送検とは、文字通り捜査書類一式のみを検察に送る手続きです。容疑者の身柄は拘束しません。一般的に、容疑者が逃げる心配がない場合や、犯した罪が軽い場合などに書類送検が選ばれます。例えば、ちょっとした喧嘩や軽い万引きなどで、容疑者がきちんと反省している場合などは、書類送検となることが多いでしょう。書類送検の場合でも、検察官は送られてきた書類を精査し、必要に応じて容疑者を呼び出して事情を聴くこともあります。そして、事件を裁判にかけるだけの証拠が十分かどうか、あるいは起訴猶予などの処分が妥当かどうかを判断します。
一方、身柄送検とは、容疑者を逮捕または勾留した状態で、捜査書類とともに身柄も検察に送る手続きです。逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合、犯した罪が重い場合などに行われます。殺人や強盗といった重大事件はもちろん、比較的軽い罪であっても、容疑者が逃げる可能性が高い場合や、証拠を隠してしまう心配がある場合には、身柄送検が選択されます。身柄送検された容疑者は、検察官による取り調べを受け、勾留の必要性などが判断されます。勾留とは、逃亡や証拠隠滅を防ぐために、容疑者を一定期間拘束しておく手続きのことです。検察官は、勾留が必要と判断すれば裁判所に勾留請求を行い、裁判所が許可すれば、容疑者はさらに身柄を拘束されたまま捜査を受けることになります。
このように、送致の種類は事件の内容、容疑者の態度、逃亡のおそれなど様々な要素を考慮して決定されます。そして、その後の手続きにも大きな影響を及ぼすため、警察は慎重に判断を行います。重大事件であれば当然身柄送検される可能性が高まりますし、事件の内容が軽微であっても、反省の色が見られない、逃げるおそれがあるなどの場合は身柄送検となる可能性も出てきます。
| 送致の種類 | 内容 | 対象となる容疑者 |
|---|---|---|
| 書類送検 | 捜査書類一式を検察に送る。容疑者の身柄は拘束しない。 | 逃げる心配がない、犯した罪が軽い、反省している |
| 身柄送検 | 容疑者を逮捕または勾留した状態で、捜査書類とともに身柄も検察に送る。 | 逃亡や証拠隠滅のおそれがある、犯した罪が重い |
送致後の流れ

警察から検察へ事件が送られた後、事件の真相を明らかにするために、検察官による更なる捜査が行われます。警察による捜査で集められた資料だけでは事件の全容解明には不十分な場合もあるため、検察官は事件関係者に対し、改めて事情を詳しく聞き取ったり、新たな証拠を集めるなどして、より綿密な捜査を行います。中には、警察では行わなかった科学捜査や鑑定を追加で行う場合もあります。
検察官は、集めた証拠や関係者の証言などを総合的に検討し、事件を裁判にかけるだけの証拠が揃っているかどうかを慎重に判断します。証拠が十分で、有罪を立証できると判断した場合には、検察官は裁判所に事件を送る「起訴」を決定します。起訴が決定されると、事件は裁判所に移り、公開の法廷で審理が行われます。裁判では、検察官が訴える側、容疑者は訴えられる側となり、裁判官が証拠に基づいて有罪か無罪かを判断します。
一方、検察官が証拠不十分と判断し、裁判で有罪を立証するのは難しいと考えた場合には「不起訴」を決定します。不起訴には、嫌疑が不十分な場合や、犯罪の証拠がない場合など、いくつかの種類があります。不起訴処分となれば、訴えられることなく事件は終結し、身柄を拘束されていた容疑者は釈放されます。ただし、後に新たな証拠が見つかった場合には、改めて起訴される可能性もあります。
このように、警察から検察へ事件が送られた後の流れは、検察官の判断によって大きく変わります。検察官は、事件の重大性や証拠の状況、関係者の証言など様々な要素を考慮し、適正な判断を下すことが求められます。そして、その判断は、容疑者の人生や社会全体の公正さを左右する重要な意味を持つのです。
送致の重要性

送致とは、警察が事件の捜査を終えた後、容疑者と事件に関する証拠をまとめて検察官に送る手続きのことを指します。これは、事件解決と公正な裁きを実現するために欠かせない、極めて重要な役割を担っています。
まず、警察は事件発生を受け、現場検証や証拠収集、関係者への聞き込みなど、様々な角度から徹底的な捜査を行います。集められた情報は整理・分析され、事件の全体像を明らかにするための重要な資料となります。そして、十分な捜査に基づき、容疑者が特定された場合、警察は事件に関する資料一式と共に容疑者を検察に送致するのです。
送致された事件は、次に検察官の手に渡ります。検察官は、警察から送致された資料を精査し、改めて事件の真相解明に努めます。必要に応じて、追加の捜査や関係者への聞き取りを行うこともあります。そして、十分な証拠があると判断した場合、検察官は容疑者を裁判所に起訴します。送致は、警察の捜査活動と検察の判断を繋ぐ架け橋と言えるでしょう。適切な送致が行われることで、事件の真相がより確実に解明され、公正な裁判が実現するのです。
さらに、送致には犯罪を未然に防ぐ効果、すなわち犯罪抑止の効果も期待できます。犯罪を企てようとする者は、警察に捕まり、送致され、裁かれるという一連の流れを想像することで、犯罪行為に及ぶことを躊躇する可能性が高まります。警察による捜査と検察への送致という流れそのものが、犯罪者にとって大きな抑止力となり、私たちの安全な暮らしを守る上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
このように、送致は単なる事務的な手続きではなく、事件解決、公正な裁判、そして犯罪抑止という、私たちの安全な社会を支えるための重要な仕組みの一つなのです。

