債務不履行と法的措置

債務不履行と法的措置

調査や法律を知りたい

『債務不履行』って、お金を借りた人がお金を返さないってことですよね?

調査・法律研究家

お金を返すこと以外にも、約束したことを実行しない場合も含まれます。例えば、物を納める約束を守らなかったり、サービスを提供する約束を守らなかったりする場合も債務不履行になります。

調査や法律を知りたい

じゃあ、友達との約束を破るのも債務不履行になるんですか?

調査・法律研究家

いい質問ですね。友達との約束は、法律で守られる契約ではないことが多いので、債務不履行とは通常言いません。債務不履行は、法律で認められた契約に関係する場合に使われます。

債務不履行とは。

お金を借りた人が、お金を返す約束を守らないことを、『債務不履行』といいます。お金を貸した人は、約束を破られたことで損をした場合、損害を賠償するように請求したり、契約をなかったことにしたりできます。

債務不履行とは

債務不履行とは

約束事を守らないことを、法律では債務不履行といいます。これは、あらかじめ交わした契約で決めた義務を期日までに果たさないことを意味します。

お金の支払いが期日までにされていない場合が、代表的な例です。例えば、毎月決まった日に支払うことになっている住宅の借り入れ金の返済が遅れている状態は、債務不履行にあたります。また、クレジットカードで買った商品の代金を支払わない場合も同様です。

お金の支払い以外にも、様々なものが債務不履行の対象となります。例えば、お店で買い物をしたのに商品を渡してもらえない、頼んだ工事が期日までに終わらないといった場合も、債務不履行にあたります。契約で決めた物の受け渡しやサービスの提供が期日までにされていない場合も、債務不履行となるのです。

重要なのは、契約でどんな義務が決められていたかです。口約束だけでなく、書面で残されている契約内容が重視されます。契約書で「この日までに、これをします」と約束していたのに、それが守られていない場合は、債務不履行の状態にあるといえます。

債務不履行は、債権者、つまり約束を守ってもらえなかった側に大きな損害を与える可能性があります。お金の支払いが滞れば、生活に困る場合もありますし、商品が届かなければ、事業に支障が出る可能性もあります。そのため、債務不履行に対しては、督促状を送ったり、裁判を起こしたりするなど、適切な対応をする必要があります。場合によっては、財産の差し押さえといった厳しい措置が取られることもあります。債務不履行は、軽い気持ちで見過ごせる問題ではありません。約束はきちんと守ることが大切であり、万が一守れない場合は、すぐに相手に連絡し、誠意をもって対応することが重要です。

債務不履行とは

債権者の権利

債権者の権利

お金を貸したり、商品を売ったりした際に、相手が約束を守らない、つまり債務不履行となった場合、貸した側、売った側である債権者にはいくつかの権利が法律で認められています。まず、債権者は債務者に対して、改めて約束の履行を請求することができます。これは、専門用語で「催告」と呼ばれる行為です。口頭でも書面でも構いませんが、通常は内容証明郵便など証拠が残る形で行うことが望ましいです。催告を行うことで、債務者に支払いや商品の引き渡しといった約束を思い出させ、自発的な履行を促す効果が期待できます。

もし催告を行っても債務者が履行しない場合、債権者は債務不履行によって生じた損害について、債務者に対して賠償を請求することができます。これは「損害賠償請求」と呼ばれ、債務不履行によって実際に被った損害を金銭で補填してもらう権利です。例えば、商品の納入が遅れたことで売上損失が発生した場合、その損失額を請求することができます。また、約束した期日までに代金が支払われなかったことで、資金繰りが悪化し、別の取引で損失が出た場合なども、損害として請求できる場合があります。ただし、請求できる損害は、債務不履行と因果関係があり、かつ相当と認められる範囲に限られます。

さらに、債権者は一定の要件を満たす場合、契約自体を解除することができます。これは「契約解除」と呼ばれる権利で、債務不履行を理由として、契約関係をなかったこととするものです。契約が解除されると、当事者は契約に基づく義務から解放されます。例えば、商品の売買契約において、売主が商品を引き渡さない場合、買主は契約を解除し、他の売主から商品を購入することができます。また、既に支払った代金があれば、それを返還請求することも可能です。ただし、どんな些細な債務不履行でも契約を解除できるわけではなく、契約の目的達成を著しく困難にするなどの一定の要件を満たす必要があります。

債権者の権利

損害賠償請求

損害賠償請求

損害賠償請求とは、約束を破られたことによって生じた損失を、お金で償ってもらうための大切な権利です。この請求を行う人は、約束を破られたことと、そのことで自分が損をしたことの間の繋がりをはっきりと示す必要があります。つまり、もし約束が守られていたら、損はしていなかったということを証明しなければならないのです。

例を挙げると、工場への電気の供給が止まってしまい、生産ができなくなって損害が出たとします。この場合、電力会社が電気を送るという約束を守らなかったことと、工場が損をしたことの間の繋がりを示さなければなりません。具体的には、電気が止まっていなければ生産は続けられており、損害は発生しなかったことを証明する必要があるのです。

また、損害の金額についても、請求する側が具体的な数字を示す必要があります。この金額には、約束が破られたことで得られなくなった利益や、約束が破られたことで余計にかかった費用なども含まれます。例えば、電気が止まったことで売れなくなった製品の利益や、電気が止まったことで代わりに発電機を借りるのにかかった費用などが考えられます。損害の範囲は、約束が破られたときの状況や、元々交わしていた約束の内容などを考えて決められます。

損害賠償の金額を計算するのは、場合によっては複雑になることがあります。売れなくなった製品の利益を計算するには、売れたはずの数量や価格を予測する必要があり、専門的な知識が必要となる場合もあります。また、契約の内容によっては、損害賠償の範囲や金額が制限されている場合もあります。そのため、損害賠償請求を行う際には、法律の専門家に相談することが大切です。専門家は、損害と債務不履行の因果関係の証明や、損害額の算定について、的確なアドバイスをしてくれます。場合によっては、裁判所での手続きも必要となるため、専門家のサポートは欠かせません。

損害賠償請求

契約解除

契約解除

約束事をやめること、つまり契約解除とは、相手が約束を守らなかったことを理由に、その約束事自体をなかったことにする権利です。これは、当事者同士の話し合いで解決する方法と、法律によって認められた方法の二種類があります。

まず、話し合いで解決する方法は、当事者同士が納得すれば、どのような理由でも契約を解除できます。例えば、引っ越しのためアパートの賃貸借契約を途中でやめたい場合、大家さんと話し合って合意すれば、契約を解除できます

次に、法律によって認められた契約解除は、相手が約束をきちんと守らなかった場合、つまり債務不履行があった場合に可能です。しかし、どんな些細な約束違反でも契約解除できるわけではありません。契約の目的を果たせなくなるほどの重大な不履行でなければ、法律に基づいて契約を解除することはできません。例えば、誕生日のケーキにロウソクが一本足りないといった軽微な不履行では、契約解除は認められません。一方、結婚式当日にウェディングドレスが届かないといった場合は、結婚式という契約の目的を果たせなくなるため、重大な不履行とみなされ、契約解除が認められる可能性が高まります

契約が解除されると、将来に向けて約束に基づいた義務はなくなります。例えば、アパートの賃貸借契約が解除されれば、以後は家賃を支払う必要はありませんし、大家さんは部屋を貸し続ける義務もなくなります。また、既にお互いに提供し合ったものについても、原則として返還請求できます。例えば、既に支払っていた家賃を返してもらうことができますし、大家さんは部屋の鍵を返してもらうことができます。このように、契約解除は、債務不履行が生じた際に、契約関係を解消し、元の状態に戻すための重要な制度です。

契約解除

債務不履行への対応

債務不履行への対応

お金を借りた人が約束通りに返済しない、いわゆる債務不履行は、貸した側にとって大きな痛手となります。このような事態に直面した場合、速やかに、そして適切な対応をすることが大切です。まずは、債務者に対して、内容証明郵便で督促状を送付します。内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を誰に送ったかを郵便局が証明してくれる制度で、後に証拠として用いることができます。この督促状によって、債務者に返済の意思があるかないかを判断する材料の一つとなります。督促状には、具体的な返済期日や金額、返済方法などを明確に記載する必要があります。

督促状を送っても返済がない場合は、残念ながら法的措置を検討しなければなりません。法的措置には、支払いを求める訴訟を起こす、財産を差し押さえるなどの方法があります。訴訟を起こす場合は、裁判所に訴状を提出し、裁判手続きを進めることになります。裁判で勝訴すれば、判決に基づいて強制執行を行うことができます。ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、事前に弁護士などの専門家に相談し、見通しを立てることが重要です。専門家は、これまでの判例や法律に基づき、最適な解決策を提示してくれます。

債務不履行による損害を最小限に抑えるためには、事前の対策も重要です。契約を結ぶ際には、お金の貸し借りに関する内容、返済期日、万が一返済されなかった場合の対応などを明確に文書に記しておくべきです。また、保証人を立てることも有効な手段です。保証人は、債務者が返済できない場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。保証人がいることで、債権回収の可能性が高まります。これらの対策を講じることで、債務不履行の発生を未然に防いだり、発生した場合でも迅速な対応が可能となります。

債務不履行への対応